研究課題
若手研究
慢性閉塞性肺疾患を含む閉塞性換気障害は血管障害を合併して、予後悪化を招くが、その機序は不明である。申請者らは約1万人のながはまコホートにて約5年間隔で肺機能検査と動脈硬化の一つの指標である上腕-足首間脈波伝播速度(baPWV)の測定を行ったところ、一秒量とbaPWVの経年的変化の間には、年齢、性別、喫煙、血圧といった因子で補正を行っても負の相関関係を持つという知見が得られた。ながはまコホートは大型ゲノムコホートで、メタボロームを含むオミックス解析が可能である。本研究では、閉塞性換気障害と動脈硬化の進行に関わるメタボライトを探索し、両者に関与する新規バイオマーカーの探索を行う。
検索したアミノ酸および糖代謝に関与する100種類以上のメタボライトの中には、閉塞性換気障害進行(1秒量[FEV1]低下)と動脈硬化進行(上腕足首間脈波伝播速度[baPWV]上昇)に共通して関与するものは認められなかった。一方で、FEV1低下とα1-アンチトリプシン(AAT)上昇が正の相関関係を持ち、AAT上昇と喫煙歴はFEV1低下と相加的関係にあり、この関係は閉経後の女性で強く認められることが分かった。
AATと閉塞性換気障害を呈する主要な疾患である慢性閉塞性肺疾患(COPD)発症に関しては、AAT欠乏がその重要な因子であることが広く知られているが、本研究の結果は逆説的である。AATは、体内での重要なアンチプロテアーゼの一つであるため、肺機能低下のメカニズム解明にはプロテアーゼ/アンチプロテアーゼバランスを検索することが必要であることが本研究より判明した。この検索は最終的には肺機能低下を予防する創薬開発につながる可能性があり、COPD発症を予防するという社会的貢献を果たすと考えられた。
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すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 11件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
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