研究課題
若手研究
糖尿病性腎症は進行性でいまだに進行を抑制する治療法がないが、良い動物モデルが欠如していることもその一因といえる。糖尿病性腎症進展において細胞内シグナル分子であるRac1-ミネラロコルチコイド受容体(MR)系の寄与が考えられるが、MR拮抗薬は高カリウム血症の懸念により臨床使用が限られている。本研究は(1)ヒト糖尿病性腎症と類似した病態を示すマウスモデルを確立すること(2)ナノキャリアを用いたRac1-MR系を標的とした腎糸球体メサンギウム細胞選択的なsiRNA導入により、効果が高く副作用の少ない新規糖尿病性腎症治療法を開発することが目的である。
糖尿病性腎症は進行性で、いまだに進行を十分に抑制する治療法がない。ヒト糖尿病性腎症に類似した病態を示すモデル動物が欠如していることも、創薬とその臨床応用を遅らせている一因といえる。本研究ではヒト糖尿病性腎症と類似した病態を示すモデルマウス(db/dbマウスに対して片腎摘出+高食塩負荷)を新規作製し、表現型を解析した。結果、本マウスは著明なアルブミン尿と糸球体障害、高血圧、低カリウム血症を認めることを明らかにした。さらに、遠位ネフロンおよび糸球体で小分子G蛋白Rac1-ミネラルコルチコイド受容体(MR)経路活性化が生じていること、同経路活性化が糖尿病性腎症進展に寄与することを明らかにした。
糖尿病性腎症は末期腎不全の原疾患として最多だが、基盤となる病態は未解明であり、病態解明ならびに治療薬開発は喫緊の課題である。本研究は遠位ネフロンおよび糸球体におけるRac1-MR経路活性化が、高血圧および糸球体障害を介した糖尿病性腎症進行に関与していることを指摘した。これは糖尿病性腎症治療の戦略としてRac1阻害薬とともにMR拮抗薬の有効性を示唆している。
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