研究課題/領域番号 |
19K17756
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
山中 修一郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (80775544)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 腎不全 / 薬剤性腎障害 / シスプラチン / 幹細胞 / 前駆細胞 / 再生 / 急性腎障害 / トランスポーター / iPS細胞 / ネフロン前駆細胞 / キメラ / 腎毒性評価モデル / 腎臓再生 / 急性腎不全 / 毒性評価 |
研究開始時の研究の概要 |
薬剤の腎毒性は臨床・創薬の場で大きな問題となる。ブタなどの動物体内で部分的に再生したヒトネフロンに対する薬剤毒性評価は、前臨床試験(動物実験)だけでは検出できずに、臨床試験におけるヒトへの直接投与によって初めて判明してしまう副作用を事前に検知する手法となり得る。異種動物の腎発生領域を腎再生の足場として用いる”胎生臓器ニッチ法”と高効率に再生ネフロンを得る”前駆細胞置換法”を組み合わせ動物の体内で再生ネフロンを維持し、薬剤投与後の再生ネフロンにおける腎障害を判定・評価する手法を確立する。将来的にヒトiPS細胞による再生ヒトネフロンを用いた、全く新たな前臨床型生体内腎毒性評価モデルの開発を目指す。
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研究成果の概要 |
これまでの動物実験による腎毒性評価モデルは、ヒトと動物の生物学的な違いから、十分な精度を持つものではなかった。ヒトの腎臓を持ったマウスを作るという発想から、キメラ腎臓をマウスの体内で再生させる試みがなされた。そこでまず、げっ歯類の腎前駆細胞から効率的にキメラ腎臓を再生させる手法を開発することに焦点を当てた。成果として、新生仔マウスの腎臓内に外来性にげっ歯類の腎前駆細胞を移植することで、キメラとして腎臓の再生を示した。新生仔キメラ腎臓は移植7週以後も再生細胞の生着と長期的な尿細管機能の保持とシスプラチン腎症の再現が確認された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、薬剤(シスプラチン)による腎障害の発現機序を解明する一助となるよう、新たな評価モデルとしてキメラ腎臓の応用を提示した。げっ歯類の腎前駆細胞を用いてマウス新生仔の腎皮膜内でキメラ腎臓を作り出す手法を開発し、このキメラ腎臓における再生ネフロンが毒性物質による障害反応を正確に再現することを確認した。この研究成果は、将来的にはヒトの腎臓を持ったマウスを利用した、薬剤の腎毒性評価や治療法の開発に大きく貢献すると考えられる。この成果は、動物実験モデルの限界を超えるような、創薬における安全性と有効性の向上を実現するための基盤技術として、重要な一歩となることを期待したい。
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