研究課題/領域番号 |
19K17926
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54030:感染症内科学関連
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
木本 貴士 徳島大学, 先端酵素学研究所(デザイン), 特任助教 (90724261)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 経口ワクチン / 肺サーファクタント / インフルエンザ / 腸管免疫 / Th17 / Treg / IgA |
研究開始時の研究の概要 |
生体成分ヒト肺サーファクタント由来のアジュバントSF-10が経口投与によって全身粘膜のワクチン抗原特異的IgA抗体を誘導する作用機序をTh17と制御性T細胞 (Treg) に着目して解明する。IgAは、気道や消化管の粘膜において、病原体を始めとした外来異物の体内侵入阻止に重要な働きがある。近年消化管粘膜におけるIgA誘導にはTh17やTregが関与していることが報告された。SF-10アジュバントは消化管免疫を介して強力に全身粘膜のIgAを誘導するが、その作用機序は不明である。本研究ではこのIgA産生がTh17とTregを介していると仮説を立て、その関与を解明することを目的とする。
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研究成果の概要 |
生体成分由来のアジュバントSF-10は、病原体の感染部位である粘膜のIgA抗体を強力に誘導できる。本研究では、SF-10とインフルエンザワクチンを混合して誘導されるIgA抗体が制御性T細胞 (Treg) やTh17に関与するかを検討した。その結果、Tregは一定の関与が確認されたが、Th17については本試験中に解明することができなかった。HAv-SF-10によって誘導されるIgAの感染防御に対する有意性を検討した結果、IgA非存在下でもIgGが存在すれば感染致死を防ぐことができた。一方で、IgA非存在下では感染後の体重減少が著しく、感染阻止や重症化予防にIgAが有用であることが分かった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
現在臨床で使用されている感染防御ワクチンのほとんどは、注射型ワクチンであり、粘膜の抗体、特にIgA抗体を誘導することができない。通常、病原体は粘膜から体内に侵入するため、粘膜の感染防御免疫を誘導できる経粘膜投与ワクチンは次世代のワクチンとして期待されている。私たちが開発した生体成分肺サーファクタント由来の免疫増強剤 (アジュバント) であるSF-10は経口投与アジュバントとして有効である。本研究でSF-10によるIgA誘導機序の一端が解明され、また誘導されるIgAとIgGそれぞれの有意性が確認された。これら知見は次世代のワクチン開発に大きく貢献するものと期待される。
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