研究課題/領域番号 |
19K17934
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54030:感染症内科学関連
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
紺野 奇重 国際医療福祉大学, 薬学部, 助教 (50807493)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 抗ウイルス / アデノウイルス / 核酸化学 / 医薬品化学 / メディシナルケミストリー / ヌクレオシド / 抗ウイルス剤 / プロドラッグ |
研究開始時の研究の概要 |
アデノウイルスは強力な感染力を有するウイルスである。特に臓器移植を行った免疫不全状態の患者に対する感染は致死的なダメージを与えることが知られているが、現在アデノウイルス感染症に対する有効な治療薬はない。先行研究にて申請者らは化学修飾された核酸アナログのリン酸化を促進させる特殊な細胞を用いてアッセイを行ったところ、炭素環を有する核酸アナログが抗アデノウイルス活性を示すことを見出した。本研究では本核酸アナログをリード化合物とし、抗ウイルス活性に大きく影響する核酸塩基部分および糖部5'位に存在する水酸基について構造活性相関研究を行うとともに、新規アッセイ法の効果判定を行う。
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研究実績の概要 |
アデノウイルスは強力な感染力を有するウイルスである。特に臓器移植を行った免疫不全状態の患者に対して対策が必要とされているが、有効な治療薬はない。そのため、本研究は従来のスクリーニング法ではヒットさせることができなかった核酸アナログを見出すことを目的としている。 核酸アナログが抗ウイルス活性を示すためには生体内でトリリン酸化される必要があるが、化学修飾された核酸アナログがリン酸化修飾を受けにくい1段階目のリン酸化反応が促進されるアッセイ法を構築した。本研究では、構築したアッセイ法を用いてアデノウイルス感染症治療薬となる新規化合物の探索を行っていく予定であった。 抗アデノウイルス活性が期待できるいくつかの新規核酸アナログの合成を行ったが、共同研究先での生物活性評価ができなくなってしまった。また、海外研究所に活性を依頼したが、COVID-19などの世界情勢の変化により、円滑な海外研究機関との共同研究が難しくなった。そのため、2022年度は自分たちの研究室で抗ウイルス活性評価を可能とすべく、アデノウイルスの培養および抗ウイルス活性の測定が実施できるようになった。また、新規核酸アナログの合成として、非天然塩基を導入したCarbovir誘導体を合成した。構築したアッセイ系で評価したところ、残念ながら陽性対照として用いたCidofovirよりも顕著な抗ウイルス活性は認められなかった。 試薬メーカーの都合により、Carbovir誘導体の合成に用いていた出発物質が購入できなくなってしまった。そのため、原料合成法を調査し、合成検討を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
外部へ合成した化合物を提供して抗ウイルス活性の評価結果を待っていたが、共同研究先が企業との契約により、本化合物群の抗ウイルス評価が実施できなくなってしまった。そのため、研究室内での抗ウイルス活性評価を実施すべく、アデノウイルスの培養を検討した。その結果、論文条件にてアデノウイルスの培養および抗ウイルス活性評価を行えるように、アッセイ条件を検討し、抗ウイルス活性評価を実施できるようになった。一方、Carbovir誘導体の合成で用いていた出発物質が購入できなくなってしまった。そのため、新たに出発物質を合成できるように合成法を調査し、合成に着手している。 また、ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼを導入した細胞の作製に着手し、アッセイ系の構築を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定では、チミジンキナーゼを用いたアッセイ系の有用性を確認するために、Carbovirのプロドラッグや2’-デオキシ炭素環グアノシンのプロドラッグ合成を行い、通常の細胞を用いた抗ウイルス評価を行って比較する予定であった。しかしながら、共同研究先の都合により、チミジンキナーゼを導入した細胞を用いたアッセイ系を実施できなくなったことから、研究室内での抗ウイルス評価を実施できるように実験を行った。その結果、2022年度までに通常の細胞を用いた抗アデノウイルス活性を評価できるようになった。これを受けて、2023年度は当初の予定となっていた通り、Carbovirのプロドラッグや2’-デオキシ炭素環グアノシンのプロドラッグ合成を行い、抗ウイルス活性評価を行う。この際、出発原料として用いていた化合物が購入できなくなったため、出発物質の変更を含めた合成法の見直しを行う。 これと同時に、新たな化合物を見出すため、チミジンキナーゼを導入した細胞を用いたアッセイ系の構築を行う。
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