研究課題/領域番号 |
19K17943
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54030:感染症内科学関連
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
後川 潤 川崎医科大学, 医学部, 助教 (00299182)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | インフルエンザウイルス / ヘマグルチニン / N型糖鎖 / 抗原性多様化 / 免疫逃避 / HAワクチン / カクテル抗原 / 香港型 / 糖鎖プロファイル / 抗原相同性 / ワクチン / リバースジェネティクス / N型糖鎖 |
研究開始時の研究の概要 |
インフルエンザは毎年流行して人々の健康を脅かす感染症である。季節性A型ヒトインフルエンザウイルスにはパンデミック型(H1N1pdm)と香港型(H3N2)の2つのサブタイプが存在する。香港型に頻発するHA頭部の糖鎖付加・欠損を伴う抗原性多様化はワクチンによる流行阻止効果を減弱する一因と考えられ、2009年のパンデミック後に消滅せずに流行を繰り返した要因である可能性が考えられる。本研究では香港型に頻発するHA-N型糖鎖変異に着目したリバースジェネティクス法による組換えウイルス解析とデータベース解析により、その生物学的意義を解明し、有効なワクチン開発につながる基盤技術シーズの創出を目指す。
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研究成果の概要 |
インフルエンザウイルスのヘマグルチニン(HA)にはアスパラギン結合型(N型)糖鎖結合配列が存在し、N型糖鎖の脱着を伴う抗原性変異はウイルスの免疫逃避に影響を及ぼす一因と考えられる。本研究では、N型糖鎖プロファイル(数と配置)がウイルス性状や中和逃避にどの程度影響しているかを組換えウイルス株を用いて検証した。その結果、N型糖鎖プロファイルはウイルス性状を規定する因子の一つであり、抗体による中和活性に影響することが示唆された。このことから、N型糖鎖に着目した抗原性多様化への対応は、HAワクチンの効果向上の有効な手段である可能性が示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
インフルエンザワクチンはワクチン株と市中流行株の抗原性が一致せず、効果的な免疫を誘導できない場合が多い。特にA/香港型(H3N2亜型)インフルエンザウイルスは抗原変異頻度が高い性質を持つウイルスであり、2009年の新型インフルエンザウイルスによるパンデミック後に再流行したことを鑑みると、新型コロナウイルスパンデミック後の、インフルエンザに対する集団的な免疫力低下が懸念される状況下で再び大流行することも考えられる。これを阻止し、人々の健康被害拡大や経済的損失を防ぐためには、ワクチン効果の向上が極めて重要な課題であり、本研究成果はその課題解決に寄与する情報基盤として大きな意義を持つ。
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