研究課題/領域番号 |
19K17988
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
坂本 昌平 九州大学, 大学病院, 特別教員 (90761502)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | Purinergic signaling / VNUT / NASH / プリン作動性化学伝達 / 非アルコール性脂肪肝炎 / マクロファージ |
研究開始時の研究の概要 |
神経内分泌細胞において、小胞型ヌクレオチドトランスポーター(VNUT)を介して分泌小胞内に取り込まれたATPは、ホルモンと同様の制御を受け細胞外に分泌され、プリン作動性化学伝達を惹起する。本研究ではVNUT欠損マウスを用いて、肝臓での小胞分泌を介したプリン作動性化学伝達が非アルコール性脂肪肝炎(NASH)発症過程で果たす役割を明らかにし、VNUT阻害薬であるclodronateのNASH治療薬としての蓋然性を検証する。栄養環境の変化により起動されるプリン作動性化学伝達が炎症を惹起するメカニズムを明らかにし、NASH治療薬の創薬へ向けた新たな分子基盤を確立する。
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研究成果の概要 |
小胞型ヌクレオチドトランスポーター(VNUT)を介して小胞内に貯蔵されたATPは、細胞外に放出され、プリン作動性化学伝達を惹起する。本研究ではプリン作動性化学伝達が非アルコール性脂肪肝炎(NASH)発症過程で果たす役割を明らかにすることを目的とした。申請者らは肝細胞およびマクロファージにおいてグルコースおよびアポトーシスが刺激となり分泌されたATPが炎症を惹起・持続させることを見出し、その働きはVNUT依存的であることを明らかにした。以上の結果から肝臓におけるプリン作動性化学伝達はNASH発症を促進していると考えられ、VNUTはNASHに対する新たな治療標的になり得ると考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究において、肝細胞およびマクロファージのVNUTを介したプリン作動性化学伝達がマクロファージを介した炎症を活性化することを見出し、VNUTがNASH発症に促進的に働いていることが推察された。VNUTを介したプリン作動性化学伝達によるNASH発症メカニズムの解明は有効な治療法の乏しいNASHの新たな治療薬開発へ繋がることが期待される。また、申請者はクロドロン酸が細胞レベルだけではなく、マウス個体レベルでVNUT阻害作用を持ち、糖代謝を改善することを既に実証しており、引き続きVNUT阻害薬のNASH治療薬としての蓋然性を生体レベルで検証することは今後の医療の発展に貢献できると考えられた。
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