研究課題/領域番号 |
19K18008
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
長野 学 広島大学, 病院(医), 助教 (40838786)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | ベージュ脂肪細胞 / 熱産生 / UCP1 / 肥満症 / 脂肪細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
肥満症は最も重要な健康問題の1つであるとともに、全世界的に増加している。脂肪細胞はエネルギー収支の中心的役割を担っている。なかでも褐色脂肪細胞や、白色脂肪組織中に長期寒冷暴露などの環境要因によって誘導されるベージュ脂肪細胞は非ふるえ熱産生を介してエネルギー消費する機能をもっており、肥満症や糖尿病治療ターゲットとして注目されている。さらに近年の研究によって、これまで熱産生に必須と考えられてきた脱共役蛋白UCP1に依存しない熱産生機構が明らかとなった。本研究はベージュ脂肪細胞におけるUCP1非依存性熱産生機構と全身代謝への影響の解明を目的とする。
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研究成果の概要 |
ベージュ脂肪細胞において、これまで必須と考えられてきた熱産生遺伝子UCP1に依存しない、クレアチン余剰回路やカルシウムサイクリングなどによる熱産生経路があることが近年報告されてきた。しかし、その分子機構など詳細は不明であった。我々は、ピルビン酸キナーゼPKM2が、細胞内カルシウム経路において重要な役割を果たすERのイノシトール三リン酸受容体(IP3R)と相互作用し、ミトコンドリア膜電位を正に調節していることを見出した。また、メチル基供与体合成酵素MATIIが、クレアチン余剰回路によるUCP1非依存性熱産生に関わっていることを見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまでUCP1非依存性熱産生に関する報告はあるが、その詳細なメカニズムは不明な点が多かった。本研究によって、PKM2やMATIIがそれぞれ異なるメカニズムを介してUCP1非依存性熱産生に関わっていることを突き止められた。ベージュ脂肪細胞の誘導や活性化については慢性的なβアドレナリン刺激やPPARγアゴニスト投与など報告があるが、いずれも心血管系の副作用が大きく、肥満や耐糖能異常への治療応用が困難を極めている。また、ヒトの熱産生脂肪細胞の多くはベージュ脂肪細胞の特徴をもつことが示されており、本研究の成果が肥満や耐糖能異常の治療応用のターゲットとなりうると考えられる。
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