研究課題/領域番号 |
19K18068
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
洲尾 昌伍 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (40771019)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 免疫チェックポイント阻害剤 / 腫瘍免疫 / 神経芽腫 / PD-L1 / TILs / Neuroblastoma / chemotherapy / 小児固形癌 |
研究開始時の研究の概要 |
小児固形癌では遠隔転移を認める症例が多く,その予後は依然不良である.一方,成人分野では,多くの癌腫において治療成績は徐々に向上しており,現在最も注目されている薬剤の一つとして免疫チェックポイント阻害剤が挙げられる.これは,腫瘍細胞上のT細胞抑制分子が宿主免疫を回避する経路として機能していることが解明されたことによる.このような新たな観点からの新規治療薬の開発は,患児の予後改善に寄与できる可能性がある.本研究は近年報告されているT細胞抑制分子の腫瘍発現を免疫組織学的に解析することで,小児固形癌における獲得免疫機構のメカニズムを解明し,新規治療標的分子の可能性を探索することを目的とする。
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研究成果の概要 |
腫瘍細胞が宿主免疫を回避する経路として注目されているPD-1/PD-L1経路について神経芽腫における臨床的意義の検討を行った。生検あるいは切除が行われた神経芽腫患者31例を対象とした。さらに化学療法後に切除が行われた15例に対し、化学療法前後のPD-L1発現と予後との関連を検討した。31例中11例(35%)でPD-L1発現が陽性で、陽性例では生存率が低くなる傾向が認められた。化学療法前で8例、化学療法後で6例にPD-L1陽性が認められ、ともに陽性を示した4例では全例に再発が認められた。以上より、PD-L1発現は特に再発をきたすような進行神経芽腫患者において治療標的となりうる可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
小児固形癌は診断時に遠隔転移を認める症例が多く、このようなハイリスク患者の予後は依然不良である。また、長期生存例においても化学療法や手術治療に伴う合併症、後遺症の影響が問題となる。成人癌の分野で新規治療法として注目されている免疫チェックポイント阻害剤はすでに臨床応用され、その効果が報告されているが、小児がん分野での検討はいまだ少ない。小児がん患児に対し、免疫チェックポイント阻害剤の導入や新たな治療標的分子による新規治療薬の開発は、患児の予後改善や副作用軽減に寄与できる可能性がある。今回の検討から、特に現在有効な治療法のない再発例にPD-1/PD-L1経路が治療標的となりうる可能性が示された。
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