アロ移植片の免疫寛容維持における単球系抑制性細胞の役割

• 研究課題/領域番号: 19K18070
• 研究種目: 若手研究
• 配分区分: 基金
• 審査区分: 小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
• 研究機関: 順天堂大学
• 研究代表者: 内田 浩一郎 順天堂大学, 健康総合科学先端研究機構, 准教授 (80648329)
• 研究期間 (年度): 2019-04-01 – 2022-03-31
• 研究課題ステータス: 完了 (2021年度)
• 配分額: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円); 2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円); 2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円); 2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
• キーワード: 移植 / 拒絶反応 / 細胞治療 / 骨髄由来抑制性細胞 / ミエロイド系抑制細胞 / 移植免疫 / 免疫寛容

研究開始時の研究の概要

抑制系細胞の“記憶維持”すなわち免疫寛容の維持機構を解明に挑戦する。　本研究では、癌の免疫回避機構やアレルギーの制御機構など抹消性(局所)の免疫寛容を誘導するミエロイド系抑制細胞 (myeloid derived suppressor cells: MDSC)に注目し、マウス異所性心移植のアロ移植免疫寛容モデル(CD80/86抗体投与)を用いて、移植片の寛容状態にMDSCがどのように貢献しているかを検討する。　さらに、申請者らが研究開発したin vitro誘導性のMDSC、中でも抑制能や制御性T細胞の誘導能の高い単球系MDSCを今回より効率よく培養誘導する技術基盤を構築する。

研究成果の概要

臓器移植は免疫抑制剤の開発により標準医療として確立されたものの、生涯免疫抑制剤を内服するリスクをもつ。免疫寛容の誘導は、免疫抑制薬の問題をすべて解決できる戦略となる。トレランス維持の機構として、骨髄由来免疫抑制細胞の役割が癌免疫の分野を中心に明らかになってきている。
骨髄細胞にGMCSFとIL-6のサイトカイン添加によりin vitroでMDSCを誘導し、その中でも単球系MDSCが特にT細胞の増殖活性を抑制し、FOXP3陽性の制御性T細胞を分化増殖させることを確認した。さらにこの単球系MDSC養子細胞治療により、マウス・アロ心移植モデルにおいてグラフトが長期生着する効果を発揮することが判明した。

研究成果の学術的意義や社会的意義

単球系の骨髄由来抑制細胞のターゲットとした新たな免疫抑制治療の効果メカニズムが解明された。これらにより、副作用の強い薬剤の全身投与ではなく、抑制性細胞治療という炎症部位を選択的に制御できる方法論の治療コンセプトを確立することができた。
この細胞療法は、制御性T細胞治療のように、レシピエントのMHCを合わせなくても、投与可能であり、効果を発揮する。また骨髄細胞は、比較的容易に採取可能であり、将来の安定供給可能な体制を構築しやすい。

研究成果

• [雑誌論文] Analysis of therapeutic potential of monocytic myeloid-derived suppressor cells in cardiac allotransplantation. (2021)
  • 著者名/発表者名: Keiichi Fujimoto, Koichiro Uchida, EnzhiYin, Jun Zhu, Yuko Kojima, Masateru Uchiyama, Yasuto Yamamoto, Hisashi Bashuda, Ryu Matsumoto, Koji Tokushige, Masaki Harada, Takenori Inomata, Jiro Kitaura, Akira Murakami, Ko Okumura, Kazuyoshi Takeda.
  • 雑誌名: Transplant Immunology 巻: 67 ページ: 101405-101405
  • DOI: 10.1016/j.trim.2021.101405
  • 査読あり / オープンアクセス
• [学会発表] マウス同種心臓移植における単球系骨髄由来免疫抑制細胞を用いた治療有効性の解析 (2021)
  • 著者名/発表者名: 原田昌樹
  • 学会等名: 第57回 日本移植学会総会