研究課題/領域番号 |
19K18087
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
石田 智 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (60804052)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2019年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
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キーワード | GIST / 遺残細胞 / GPX4 / グルタチオン / イマチニブ / 酸化ストレス / フェロトーシス / GPX4阻害剤 |
研究開始時の研究の概要 |
GISTに対するイマチニブ治療においては、投与中止後の腫瘍増大・再発が必発であり治療の終了が困難であるといった臨床上の問題点が浮き彫りになっている。その背景として、イマチニブ治療下のdormancyな遺残腫瘍(Persister cell)がイマチニブ治療の中止を困難にするとともに耐性細胞の供給源となっていることが考えられる。今回我々は、in vitroにおいてGIST細胞株に一定期間イマチニブを投与することで遺残細胞モデルを培養し、その特性を免疫学的手法・生化学的手法を用いて解析するとともに、遺残細胞におけるGPX4阻害剤の効果とそのメカニズムに関しても解析を行う。
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研究成果の概要 |
GIST細胞株に対しイマチニブを一定期間投与したのちの遺残細胞では抗酸化物質であるグルタチオンや関連抗酸化物質・酵素の低下が見られ、結果としてGPX4阻害剤に感受性を示した。同様の結果はゲフィチニブを投与した後のEGFR変異肺癌細胞株においても確認できた。 またGIST細胞株を皮下移植したヌードマウスモデルを用いたin vivoモデルおいても確認し得た。細胞株を用いたin vitro解析において遺残細胞では糖代謝関連の代謝の様式が親株と比較して著しく抑制されていることがわかった。このことが遺残細胞における抗酸化力の低下、ひいては遺残細胞特有のdormantな性質に寄与している可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
イマチニブ治療下の遺残細胞がイマチニブ治療の中止を困難にするとともに耐性細胞の供給源となりえると考えられている。このような背景から、遺残細胞を標的とした治療の開発に関する報告が近年少しずつなされ始めている。 今回、我々は「遺残細胞とはどういった細胞集団なのか?なぜ死滅することなく生き残ることが可能なのか?」という学術的問いに対する答えが本研究に内包されているものと考える。薬剤耐性腫瘍の供給源となり癌の再発・転移を誘発するこの遺残細胞の発生メカニズム、ならびに特性をさらに解明することで、GISTのみならず他癌においても治療効果を最大化することが可能であると考える。
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