研究課題
若手研究
膵島移植は,インスリン分泌が枯渇した1型糖尿病に対して,膵β細胞を含む膵島のみを肝臓に移植する根治的な治療法である。膵臓移植に比べはるかに低侵襲な治療として期待されてきたが,膵島が肝全体に散らばって生着するため拒絶反応の確定診断が不可能であるという問題を抱えている。申請者は癌細胞の局在診断に用いられるインドシアニングリーン(ICG)蛍光法に着目した。ICG蛍光法で肝内に移植された膵島を可視化できれば,生検による拒絶反応の確定診断と効果的な治療介入が可能となる。本研究は膵島移植における最大の臨床的課題を根本的に解決し,治療成績の向上に直結する可能性がある。
本研究では、移植する膵島をあらかじめ蛍光色素で染めることにより、移植後に生着部位を簡単に同定できるようになり、病理検査に必要な膵島の生検が可能となることが判明した。これにより今まで不可能であった膵島移植後の拒絶反応診断が可能となる。拒絶反応が診断されることで迅速な治療介入が可能となり、移植された膵島の生着率改善と長期インスリン離脱が実現する可能性がある。
本研究成果により、膵臓移植にかわる低侵襲な根治治療として発展してきた膵島移植の成績が向上し、より多くの糖尿病患者の病状改善に寄与することが期待される。また、蛍光色素で標識された細胞を移植しその機能を視覚化するという発想が、膵島移植以外の細胞治療にも応用される可能性がある。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
Transplantation Proceedings
巻: 54 号: 2 ページ: 507-512
10.1016/j.transproceed.2021.10.029