研究課題/領域番号 |
19K18214
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55040:呼吸器外科学関連
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
城所 嘉輝 鳥取大学, 医学部附属病院, 助教 (50768752)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2019年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 浸潤性肺腺癌 / 充実型増殖 / 発現変動遺伝子 / 組織不均一性 / 網羅的遺伝子発現解析 / レーザーマイクロダイセクション / 次世代シーケンサー / Invasive adenocarcinoma / transcriptome / solid components / solid predominant |
研究開始時の研究の概要 |
腫瘍組織は均一ながん細胞集団ではなく,様々な細胞から成り立つheterogeneityを有し,特に浸潤性肺腺癌では腫瘍内の不均一性が大きい.浸潤性肺腺癌の中に充実型や微小乳頭型の増殖形態が存在する場合,予後不良因子となる.本研究では,腫瘍細胞の増殖形態ごとの遺伝子発現状況を網羅的に解析することで, 浸潤性肺腺癌がそれぞれの増殖形態を獲得するメカニズムを解明する.これらの予後不良である浸潤性肺腺癌において, 治療標的となり得る遺伝子を同定することを目的としている.本研究の成果は, 将来的に予後不良な増殖形態に対応した新たな分子標的治療薬を開発する上で,基礎的データになることが期待される.
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研究成果の概要 |
肺腺癌は腫瘍細胞の形態が不均一であることがよく知られている.中でも充実型と微小乳頭型は悪性度が高く,同じステージの肺腺癌でもこれら2つの組織亜型が存在すると予後不良となる.そこで,これら2つの亜型がもつ遺伝子の特徴について研究を行った. 早期であるステージI期の肺癌切除検体から,充実型とその比較として腺房型をそれぞれ顕微鏡を用いて組織を回収した.回収した組織からRNA(リボ核酸)を回収して解析を行った.微小乳頭型は純粋な組織が切り出せずに解析は充実型のみで行った.充実型では細胞増殖に関わるRNAが多数みられ,組織像を反映していた.また充実型にはPDL1が発現しており,免疫抑制の関与が考えられた.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
肺腺癌の中で,とくに予後不良となる充実型増殖の遺伝子発現状況の研究を行い多数の遺伝子の発現上昇あるいは発現低下を確認した.すでに免疫療法として治療対象となっているPDL1が充実型で多く見れらた.加えて,乳癌領域で癌遺伝子の調節を行う因子として報告されているTAF1の発現上昇,転移抑制として働き癌抑制因子としての機能が知られているHOXB3の発現低下,過去の報告で肺癌の増殖能を活性化する可能性が示されているPSMA6などが見られた.さらなる研究は必要であるが,これらの遺伝子は肺癌の新規治療の標的となりえ,予後不良な肺癌の治療に貢献できる可能性がある.
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