研究課題/領域番号 |
19K18274
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
倉敷 達之 鳥取大学, 医学部附属病院, 助教 (10722069)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2019年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 急性肺傷害 / 上皮バリア機能 / インフラマソーム / タイトジャンクション / 急性肺障害 / 細胞極性 / 炎症 |
研究開始時の研究の概要 |
敗血症などの急性臓器障害では、組織の細胞間接着構造の異常が確認される。この異常を抑制することができれば、臓器障害を抑えることが可能となる。申請者は、低容量LPSの前処理によって敗血症モデルマウスの肝細胞の接着構造の異常を抑制できることを発見した。 また、培地中のカルシウム除去によって起こる上皮細胞間接着構造の消失も同様に低容量LPSの前処理により抑制された。予備的な実験から、この効果は、インフラマソームの活性化を阻害するとキャンセルされた。 本研究では、「新規インフラマソームシグナル経路の活性化は、急性肺傷害で惹起される上皮バリア機能の破綻を抑制できるか明らかとする」ことを目的とする。
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研究成果の概要 |
上皮細胞のタイトジャンクション(TJ)は生体の内腔と外腔を隔てる上皮バリア機能に必須である。本研究では、急性炎症傷害前のインフラマソームの活性化は、急性傷害で惹起される上皮バリア機能の破綻を抑制できるか検討した。その結果、高濃度LPS刺激により誘導される肺傷害や肝障害とTJの異常は、低濃度LPSの前処理により抑制された。また、培養上皮細胞を用いた検討から低容量LPSによるインフラマソーム活性化は、カルシウム除去によるTJの消失を抑制した。この効果は、インフラマソーム活性化阻害によりキャンセルされた。これら結果から、インフラマソームシグナルが上皮バリア機能の保護に関わることが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
インフラマソームの活性化に関する既存の報告の多くは炎症応答による細胞傷害についての解析であった。本研究は、細胞傷害保護に作用する新規インフラマソームシグナル経路の存在に着目し検討した。弱い炎症刺激によるインフラマソームの活性化が上皮バリア機能の保護に働くことが明らかとなった。敗血症、急性肺傷害、感染、癌の進展などに共通した分子病態として上皮バリア機能の破綻が生じる。インフラマソームの活性化は、上皮バリア機能の破綻を抑制できることから、それら病態の治療や予防の確立に本研究が貢献できる可能性が期待できる。
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