研究課題/領域番号 |
19K18291
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小西 裕子 名古屋大学, 医学系研究科, 特任講師 (60771970)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | セボフルラン / 大腸がん細胞株 / がん細胞 / KRAS / 吸入麻酔薬 |
研究開始時の研究の概要 |
術後の覚醒の早さから外科手術に広く用いられている吸入麻酔薬であるが、一部の培養がん細胞株の増殖に影響があるという報告もあり、この作用機序を明らかにすることは喫緊の課題である。一方、原がん遺伝子RASは大腸がん患者の45-50%に変異を生じ、抗がん剤への治療抵抗性を示すことからバイオマーカーとして治療前検査が行われている。そこで本研究は麻酔薬暴露後の増殖原因の一つにKRAS遺伝子を仮定しその発現量などを比較検証する。本研究が達成されれば、広く用いられている吸入麻酔薬の安全利用に資する重要な基礎データを提供でき、抗がん剤事前検査で用いるバイオマーカーKRASを麻酔薬選択のために新たに活用する可能性を広げる。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は周術期に使用する麻酔薬の大腸がん細胞への影響について、まだ知られていない作用機序を明らかにするため増殖解析や生化学的な検討を行った。がん原遺伝子K-rasは変異を生じることによって、消化器がんをはじめ多くのがんの増殖に寄与することが分かっている。そこで変異の種類によって麻酔薬暴露後の影響の違いを調べるため、これらの野生型と代表的な2種類のKRAS変異をもつ大腸がん細胞株を用いて解析した。これまでに研究者は細胞数の変化、軟寒天培地での増殖能、単層培養でのコロニー形成能、免疫不全マウスへの移植による腫瘍のサイズの変化など、それぞれの表現型の違いを解析した。また、着目した遺伝子K-ras遺伝子発現量をリアルタイムPCRで解析し、その発現量の変化を比較した。さらに野生型KRASを始め、変異KRASの及ぼす下流域の増殖シグナルを明らかにするため、MAPKやPI3Kなどのリン酸化活性をウェスタンブロッティングや、リン酸化増殖因子のパネル検査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに研究者は計画した単層培養によるコロニー増殖能や、軟寒天培地中でも増殖を高めたことを確認を行った。そこでこの増殖の原因の一端を探るため、PI3K-AKT経路のリン酸化活性やMEK・ERK活性について、それぞれの阻害剤をもちいて検討を行った。さらに麻酔薬後の網羅的なタンパク質リン酸化パネル検査を行うなど計画的に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
現在までにCRISPR-cas9によるノックインは本研究で用いた細胞株では極端な増殖能の低下を引き起こした。恐らくオフターゲットによって増殖能力の低下が生じたと考えられる。そこでsiRNAによるK-ras遺伝子のノックダウンを実施し、その解析に取り組んでいる。
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