研究課題/領域番号 |
19K18323
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
齋藤 雅史 神戸大学, 医学研究科, 特命助教 (80826321)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2019年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
|
キーワード | 敗血症 / 高齢者 / IL-15 / 免疫抑制 / 長期予後 / リンパ球 / Interleukin-15 / 高齢者敗血症 / リンパ球活性化因子 |
研究開始時の研究の概要 |
高齢者敗血症患者の長期予後を改善するため、遷延する獲得免疫機能障害の機序解明と新規治療ターゲットを探索する。2歳齢程度の老齢マウスに敗血症を誘導し、定期的に採血を行い、血液中の細胞分布を長期間モニタリングすることで免疫抑制の評価を行う。さらにInterleukin(IL)-15などのT細胞を活性化するサイトカインや、抗PD-1抗体などを老齢敗血症マウスに投与し、生存率の改善効果やT細胞の増殖、Interferon-γ産生に与える影響などを解析する。最後に、老齢敗血症マウスにおけるIL-15の長期予後に与える効果を明確にするため、IL-15KOマウスに対して敗血症を誘導し、免疫機能の評価を行う。
|
研究成果の概要 |
Interleukin-15(IL-15)がマウス腹膜炎モデルの生存率を有意に改善したことを報告したが、高齢敗血症の免疫機構に対する効果は不明であった。そこで、若齢・高齢マウス反復感染モデルを作成し、長期的な免疫疲弊の機序とIL-15の効果を比較した。反復感染モデルにおいて、50日生存率は若齢群で91%、高齢群で69%、IL-15を投与した若齢・高齢群では100%であった。末梢血中のProgram death-1(PD-1)陽性CD4+・CD8+T細胞と制御性T細胞(Treg)の割合は、若齢群と比較して高齢群において有意に増加したが、IL-15投与群では有意に減少、その効果は50日間持続した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
現在、敗血症患者の多くは高齢者であり、生命予後は極めて悪い。既知の研究から、生命予後の悪化は敗血症に伴う強烈な免疫抑制と長期化が原因と考えられてきたが、免疫抑制の期間やそのメカニズムは不明であった。本研究において、高齢マウスでは若齢マウスと比較して、免疫応答を抑制するPD-1陽性T細胞やTregの血中での割合が持続的に高値を示すことが明らかとなった。それに対して、IL-15を投与することで、高齢マウスの生命予後を改善し、免疫を賦活化することが示された。この結果から、IL-15が高齢者敗血症の新規の治療ターゲットとなり、二次感染のリスク低減にも寄与する可能性が示された。
|