研究課題/領域番号 |
19K18355
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
形見 祐人 香川大学, 医学部, 助教 (50791224)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 精巣捻転症 / 虚血再灌流障害 / 精子形成 / 次世代シーケンサー / RNA-seq / 精巣 / 精巣捻転 / 網羅的遺伝子解析 / 血液精巣関門 / 希少糖 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトの思春期に相当する7週齢以降のマウスを用いて、精巣虚血再灌流モデルを作成する。左精巣を720度捻転させ、1時間の虚血を与えたのち、捻転を解除して24時間再灌流させる。再灌流終了後に精巣を摘出し、病理組織学的にどのような障害が起こったかを評価する。病理組織学的評価のひとつとして血液精巣関門の破綻について検証する予定であり、トレーサーと呼ばれる物質を静注することで関門の通過の有無を観察する。さらに、観察された精巣の障害がD‐アロースにより軽減されるか否かを検証するため、D‐アロースの投与実験を行う。D‐アロースは腹腔内投与し、濃度依存性の検証のため投与量を変化させて効果の違いを観察する。
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研究実績の概要 |
本年度は、前年度までに得られた研究成果を発表するため、実験データの解析と取り纏め、および論文執筆を行った。 病理組織学的検査の結果、ラットにおいて1時間の精巣捻転は精巣組織の著明なダメージを生じず、精巣は温存可能と考えられた。一方、捻転解除後24時間の再灌流負荷により病理学的ダメージが有意に増強された。したがって、本研究の虚血1時間+再灌流負荷というラットモデルは、精巣捻転症の術後障害を検証するモデルとして妥当と考えられた。なお、組織学的な精子形成スコア(Johnsen score)は虚血再灌流群で有意に悪化したが、同群の平均スコアは8点を超えており、精子形成は保たれていた。 さらに、精巣捻転症の術後温存精巣に生じる遺伝子発現変動を網羅的に解析するため次世代シーケンサーを用いたトランスクリプトーム解析を行った。得られたシーケンスデータはbioinformatics によって解析し、アポトーシス、酸化ストレスへの応答、精子形成に関する経路に発現変動が見出された。さらに、RT-PCRにより、アポトーシス関連遺伝子(Bax、Bcl2、Fas、Fasl、Casp3、Casp8、Casp9)、抗酸化酵素関連遺伝子(Gpx1、Ho1、Sod1、Sod2、Prdx1、Prdx4)、精子関連遺伝子(Hspa2、Shcbp1l、Tex14、Gopc、Bbs4、Ace)の発現解析を行った。精子の形成および機能獲得には多くの段階が含まれており、本研究では、減数分裂(Hspa2、Tes14)、先体形成(Gopc)、鞭毛形成(Bbs4)、卵子透明帯との結合(Ace)に関与する遺伝子に有意な発現低下をみとめた。 これらの結果から、1時間の精巣捻転を解除してから24時間後のラット精巣では組織学的な精子形成は保たれるが、遺伝子レベルでは精子形成能の低下が生じていることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度、論文を投稿し、査読の結果、major revisionとなった。修正論文を提出したが、再査読の結果通知が年度内に間に合わなかった。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、査読への対応や学会発表を行っていく予定である。
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