研究課題/領域番号 |
19K18362
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
田村 哲也 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (90381889)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | エリスロポエチン / ミクログリア / 脳低温療法 / 脳保護 / 急性脳障害 / アストロサイト / ミクログリア活性 |
研究開始時の研究の概要 |
エリスロポエチン(EPO)は、腎性貧血に対する治療薬として広く使用されている。近年、EPO受容体(EPOR)が腎臓のみでなく中枢神経系にも発現しており、EPO-EPORを介したシグナルが神経保護効果を持つことが徐々に明らかとなった。これまで申請者らは、ミクログリアにEPORが高発現していることを発見した。様々な脳疾患でミクログリアの傷害的な活性化が知られている。そこで、ミクログリアにおけるEPO-EPORシグナルを利用し、傷害的活性を変化させ脳保護作用を発揮できるのではと着想した。EPOによる脳保護作用の新たな機序を解明しEPO製剤による新規の脳保護治療法を提示することを目標とする。
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研究成果の概要 |
ミクログリア細胞株BV-2をLPSで刺激後、33.5℃の低温環境では炎症性サイトカイン、iNOSの発現、NF-κB 経路、の抑制や貪食能の低下がみられた。また、LPS刺激後BV-2細胞とニューロンの共培養では、低温環境でニューロンの傷害が抑制された。アストロサイトを低酸素・無糖状態にするとエリスロポエチン(EPO)遺伝子発現が亢進、低温状態ではEPOの発現が有意に上昇した。また、アストロサイトのEPO発現にはHIF2αの寄与が大きかった。さらに、低酸素・無糖状態のニューロンに、低温状態のアストロサイトからのコンディションメディウムを添加するとニューロンのアポトーシスが抑制された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ミクログリア活性化調節に注目した脳保護の研究は少ない。今まで明らかにされていないEPOの神経保護効果のメカニズムを、ミクログリアに存在するEPORとの関係から明らかにすることが本研究の特色であり、非常に学術的独自性が高い。EPO製剤による神経保護は臨床応用へ安全に橋渡しができる。一方で、低温環境でのミクログリア活性抑制、アストロサイトからの内因性EPO増加を証明した。救急集中治療領域における脳低温療法の作用機序の解明、EPO治療との組み合わせという意味でも本研究の意義は大きい。
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