研究課題/領域番号 |
19K18433
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
植川 顕 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (40448535)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 悪性神経膠腫 / 腫瘍微小環境 / 骨髄由来免疫細胞 / 脳血管周囲マクロファージ / 腫瘍血管新生 / VEGF / 脳内腫瘍免疫 / 血管新生 / 脳内マクロファージ / グリオーマ / 神経-免疫-血管ユニット |
研究開始時の研究の概要 |
悪性神経膠腫の増殖・浸潤には、血管増生などの「血管性因子」と、免疫細胞による「免疫性因子」を含む脳特有の微小環境が関連していると考えられるが、その詳細な機序は分かっていない。脳内には神経-血管ユニットと呼ばれる、「神経」と「血管」の連携微小構造がある。さらに、脳内に存在するミクログリアや脳常在型マクロファージなど脳特有の免疫細胞も、脳の恒常性に関与するとともに、悪性神経膠腫の病態に関与する可能性がある。そこで申請者は、「神経」と「血管」と「免疫」の連携の中心的な位置にある脳血管周囲マクロファージに着目し本研究を行い、悪性神経膠腫の増殖・浸潤に対する新たな治療法の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、悪性神経膠腫の増殖・浸潤・血管新生において、腫瘍関連の免疫細胞である骨髄由来マクロファージ、リンパ球などと脳常在性の脳血管周囲マクロファージとの相互作用を解明し、臨床応用により新たな治療戦略を確立することである。 2019-2021年度に引き続き、悪性神経膠腫患者から採取した腫瘍組織検体を用いて、免疫染色により脳血管周囲マクロファージが脳腫瘍細胞の増殖・浸潤にどのように関わっているか関連を評価している。腫瘍本体と腫瘍周辺の浸潤部組織を用い、腫瘍細胞の浸潤、血管構築と免疫細胞について評価を行った。免疫細胞はミクログリア(Iba1抗体)、脳常在性マクロファージ(CD206体)、単球・未熟マクロファージ(CD68抗体)、腫瘍関連性M2マクロファージ(CD163抗体)を染色評価した。さらに、共焦点顕微鏡を用いて患者の脳組織サンプルから腫瘍周囲の微小血管と腫瘍内の造成血管の構造変化や、VEGFをはじめとした血管新生に関わる蛋白の染色評価を行った。また、マウス脳内腫瘍移植モデルや腫瘍細胞の培養により、サンプルや検査キットの準備を行いVEGF、IL-6 、MMP-9 、TNFαなどの血管増殖因子・サイトカインの発現をELISAや定量PCRで評価している。 これまでの研究で、脳血管周囲マクロファージは免疫受容体CD36を介してNADPH oxidase経路により活性酸素種を産生し、悪性神経膠腫の腫瘍細胞に対し殺細胞作用を示す可能性が考えられる。 この研究の意義は、悪性神経膠腫の微小環境において、免疫細胞の相互作用や血管新生の機序を解明することにより、従来の化学療法や放射線療法に耐性を示す症例に対する新たな治療法を確立する基盤となり、今後の研究を進めるために重要な結果となる。 また、上記の手法を下垂体腺腫や髄膜腫、転移性脳腫瘍などの脳腫瘍にも応用し研究を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019-2021年度に引き続き患者の脳腫瘍組織サンプルを用いた組織学的検討するために、悪性神経膠腫患者から採取した腫瘍組織検体を用いて、免疫染色により脳血管周囲マクロファージが脳腫瘍細胞の増殖・浸潤にどのように関わっているか関連を評価している。当教室ですでに蓄積されている悪性神経膠腫のサンプルと臨床情報に加え、今後の手術例から採取されるサンプルも使用して評価を行っており、おおむね順調に評価を行っている。 染色について、免疫細胞はミクログリア(Iba1抗体)、脳常在性マクロファージ(CD206体)、単球・未熟マクロファージ(ED1;CD68抗体)、腫瘍関連性M2マクロファージ(CD163抗体)を染色評価を行っており、当院の細胞病理学講座と共同で研究を進めている。共焦点顕微鏡を用いて患者の脳組織サンプルから腫瘍周囲の微小血管と腫瘍内の造成血管の構造変化や、VEGFをはじめとした血管新生に関わる蛋白の染色評価を行っているが、組織を40-60μmで切りだり染色するために方法・条件を調整し、おおむね良好な染色結果を得ている。 また、マウス脳内腫瘍移植モデルや腫瘍細胞の培養により、サンプルや検査キットの準備を行いVEGF、IL-6 、MMP-9 、TNFαなどの血管増殖因子・サイトカインの発現をELISAや定量PCRで評価を行っており、マウス脳内腫瘍移植モデルや腫瘍細胞の培養の方法・条件の検討を行っている。 これまでの研究で、脳血管周囲マクロファージは免疫受容体CD36を介してCD36/NADPH oxidase経路により活性酸素種を産生し、悪性神経膠腫の腫瘍細胞に対し殺細胞作用を示す可能性が考えられており、実験で検証中である。 また、上記の手法を下垂体腺腫や髄膜腫、転移性脳腫瘍などの脳腫瘍にも応用し研究を進めている。 おおむね順調に研究が進行している。
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今後の研究の推進方策 |
悪性神経膠腫の摘出腫瘍サンプルの腫瘍本体と腫瘍周辺の浸潤部組織を用い、腫瘍細胞の浸潤、血管構築と免疫細胞について評価を行い、免疫細胞はミクログリア(Iba1抗体)、脳常在性マクロファージ(CD206体)、単球・未熟マクロファージ(ED1;CD68抗体)、腫瘍関連性M2マクロファージ(CD163抗体)を染色評価してている。さらに近年は腫瘍に関連したT細胞リンパ球の免疫機序が解明しており、T細胞リンパ球の相互作用についても評価・検討を行う。 染色について、免疫細胞はミクログリア(Iba1抗体)、脳常在性マクロファージ(CD206体)、単球・未熟マクロファージ(ED1;CD68抗体)、腫瘍関連性M2マクロファージ(CD163抗体)を染色評価を行ってるが、抗体によって染色性を向上させるため染色条件を調整する。共焦点顕微鏡を用いて患者の脳組織サンプルから腫瘍周囲の微小血管と腫瘍内の造成血管の構造変化や、VEGFをはじめとした血管新生に関わる蛋白の染色評価を行っているが、組織を40-60μmで切りだり染色するため、方法・条件の調整を行い、染色性・形態の保持性を向上させる。当院の細胞病理学講座と共同で研究を進めており、今後さらに染色条件の調整などについて検討を行っていく。 また、マウス脳内腫瘍移植モデルや腫瘍細胞の培養の方法・条件の調整を行う。 これまでの研究で、脳血管周囲マクロファージは免疫受容体CD36を介してCD36/NADPH oxidase経路により活性酸素種を産生し、悪性神経膠腫の腫瘍細胞に対し殺細胞作用を示す可能性が考えられており、実験で検証中である。 上記の解析結果に基づいて、患者の臨床経過から従来の化学療法・放射線療法に耐性を示す患者群について詳しく検討を行い、治療抵抗性の機序を明らかにする。さらには、治療抵抗性を克服する治療法を確立する。 また、上記の手法を下垂体腺腫や髄膜腫、転移性脳腫瘍などの脳腫瘍にも応用し研究を進める。
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