研究課題/領域番号 |
19K18638
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
田中 博明 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (30727996)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 胎児発育不全 |
研究開始時の研究の概要 |
原発性肺高血圧合併妊婦の経験から、胎盤形成不全による低酸素のため、胎児の発育が抑制される胎児発育不全(FGR)に対してもタダラフィルの効果がある可能性を見出し、タダラフィルを投与したFGRモデルマウスの実験系においても胎仔体重が著しく改善されることを明らかにした。本研究では、種々のFGRモデルマウスにタダラフィルを投与し、FGRに対するタダラフィルの胎児マウスにおける効果について分子レベルで解析する。具体的に、タダラフィルの胎児発育促進に、アミノ酸輸送や代謝への影響について中心的に解析する。本研究の目的は、タダラフィルのFGRへの有効性を分子レベルで解明することである。
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研究成果の概要 |
mTORシグナルに着目し、ヒト胎盤におけるmTORシグナルの下流で働くps6とeIF-4の活性が、FGRに対してタダラフィルを投与した後にどのように変化するかを調べ、その作用メカニズムの解明を目指した。ps6およびeIF-4の発現は、それぞれウェスタンブロッティングおよび酵素結合免疫吸着法により調べた。ps6と eIF-4 のレベルは、FGR 胎盤で対照胎盤よりも有意に高かったが、タダラフィル投与後は対照レベルまで減少した。タダラフィルは、FGR胎盤のps6、eIF-4Eのレベルをコントロール胎盤で観察されるレベルまで回復させ、FGRの治療戦略として有望であることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
胎児発育不全(FGR)は、胎児発育が抑制され低体重で出生するため、新生児死亡率、脳性麻痺の発症率は増加する。更に、将来的な広汎性発達障害、生活習慣病のハイリスク群となることが判明しているが、胎児発育を促進させるための治療法がないのが現状である。これまでに、タダラフィルはFGRに対する胎内治療薬として有効である可能性を基礎研究、臨床試験によって示してきた。FGRに対する胎内治療の実現は、FGRで出生した新生児の様々な合併症を減らし、少子化により減少する出生児への質の高い安全を提供する社会的意義がある。本研究は、FGRに対するタダラフィルの作用機序の1つを解明したことに学術的意義を持つ。
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