研究課題/領域番号 |
19K18690
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
津田 さやか 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (60839075)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 細胞障害性T細胞 / 制御性T細胞 / T細胞受容体レパートリー / 流産 / 妊娠高血圧腎症 / 子宮体癌 / 妊娠 / 婦人科癌 / T細胞受容体 |
研究開始時の研究の概要 |
胎児は母体にとって半異物(半分が自己で半分が他人)であるが免疫寛容が誘導されるため、拒絶されることなく妊娠が維持される。同様の免疫学的環境は、悪性腫瘍でも見られる。子宮局所における宿主(母体)の抗原特異的T細胞免疫の、妊娠と悪性腫瘍(子宮体癌)での相違を比較検討することで、習慣流産の治療法の開発ならびに婦人科悪性腫瘍に対する免疫療法の双方の領域に有用な知見が得られる。妊娠時・非妊娠時子宮内膜・子宮体癌で、制御性T細胞と細胞障害性T細胞のT細胞受容体のバリエーションとそれらの抗原特異性を比較検討し、生殖免疫学的に流早産、妊娠高血圧腎症の治療の糸口を見出し、腫瘍免疫学的に癌免疫療法の糸口を見出す。
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研究成果の概要 |
母子間免疫寛容と、腫瘍が宿主の免疫から逃れる機構は類似しており、T細胞免疫が重要な役割を果たす。制御性T細胞(Treg)と細胞障害性T細胞(CTL)のT細胞受容体解析を行い、妊娠と腫瘍での差異について検討した。 妊娠では子宮局所で、初期には抗原特異的CTLを抗原非特異的にTregが抑制すること、後期は抗原特異的CTLの活性抑制とTregによる抗原特異的な免疫抑制が誘導されることが判明した。子宮体癌では、CTLが局所と末梢血でクローナリティが上昇し、末梢血では組織型と相関していた。妊娠では末梢血T細胞に異常妊娠の病態は反映されなかったが、腫瘍の末梢血CTLは局所の病態を反映しうることが判明した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
絨毛細胞(妊娠)と悪性腫瘍では免疫制御機構に類似点が多くある。宿主の抗原特異的T細胞免疫の、妊娠と悪性腫瘍(子宮体癌)での相違を比較検討することで、生殖免疫学的に流早産、妊娠高血圧腎症の治療の糸口を見出し、腫瘍免疫学的に癌免疫療法の糸口を見出すことを目的とした。 妊娠では制御性T細胞(Treg)と細胞障害性T細胞(CTL)の、子宮局所での抗原特異的T細胞免疫応答の変化を主体としており、末梢血には反映されないことから、局所に作用する免疫学的治療が望まれる。一方、子宮体癌では末梢血CTLクローンの多寡が腫瘍の性質を反映しており、免疫学的治療ならびにバイオマーカーとして応用できる可能性がある。
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