研究課題
若手研究
申請者は、ケラチノサイト特異的にPpp6c を欠損させたマウスでは、紫外線照射で皮膚扁平上皮がんが発生し、その組織ではPpp6c 欠損と変異型p53 が共存することを見出した。次に、ケラチノサイト特異的に2重変異(Ppp6c 欠損と変異型K-ras)をもつマウスは、変異型K-ras のみをもつマウスに較べて、口唇、指、肛門などの体表面の組織が著しく腫瘍化が促進されることを見出した。本研究では、扁平上皮特異的に、2重(Ppp6c 欠損+変異型K-ras、あるいはPpp6c 欠損+変異型p53)、あるいは3重変異マウス(Ppp6c 欠損+変異型Kras+変異型p53)を作製して、頭頸部腫瘍における、PP6 の機能不全の“相乗的”作用による発がん機構を検証する。
本研究では、扁平上皮特異的に、2重(Ppp6c欠損+変異型K-ras、あるいはPpp6c欠損+変異型p53)、あるいは3重変異マウス(Ppp6c欠損+変異型K-ras+変異型p53)を作製して、頭頸部腫瘍における、PP6の機能不全の“相乗的”作用による発がん機構を検証した。その結果、PP6の機能不全が、p53やRAS遺伝子の腫瘍形成能に“相乗的”に働くことが示唆された。
頭頸部扁平上皮がんの遺伝子変異の特徴として、TK-PI3K-AKT経路やp53変異の遺伝子変異が高いことがあげられる。RTK-PI3K-AKT経路を標的とした、あるいはTK-PI3K-AKT経路に加えてp53変異を標的とした新しい治療の開発が求められている。ホスファターゼ活性の調節を制御した治療開発というのは全く新しい概念であり、本研究の意義は大きい。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Cancer Sci.
巻: in press 号: 6 ページ: 2233-2244
10.1111/cas.14895