研究課題
若手研究
中耳真珠腫は、根治治療は手術のみである。低侵襲な経外耳道的内視鏡下耳科手術(TEES)で行う症例が増えているが、乳突蜂巣に進展する真珠腫は耳後部切開での顕微鏡下手術が必要となる。このような症例にも低侵襲に治療を行うために、TEESに追加できる補助的治療法の確立が望ましい。これまで、エピジェネティクスは腫瘍、統合失調症、生活習慣病、慢性炎症性疾患などの疾患で関与しているといわれ、腫瘍領域を中心として治療応用が報告されている。本研究では、中耳真珠腫においてエピジェネティクスな変化が遺伝子レベルでどのように影響するかを明らかにする。最終的にはTEES と補助的治療のコンバインド療法の確立を目指す。
【背景】部分的上皮間葉転換(p-EMT)は上皮細胞が細胞間接着を部分的に失い、遊走能を得るために変化するプロセスである。転写因子p63はカドヘリンファミリーの発現を調節し上皮細胞の増殖を誘導する。本研究では中耳真珠腫においてp63発現下で認めるp-EMTが上皮細胞増殖の重要な要因であると仮定した。【方法】対象は外科的に切除した先天性真珠腫(CC)(n=48)、後天性中耳真珠腫(AC)(n=120)、および正常皮膚組織(n=34)である。EMTマーカー(N-cadherin: N-cad)、アドヘレンジャンクションマーカー(E-cad)、タイトジャンクションマーカー(CLD-1、CLD-4、OCL)の免疫組織染色による分析を行った。またp63のラベリングインデックス(labeling index: LI)と増殖細胞核抗原(PCNA)(後期S期マーカー)、および遊走マーカーとしてSnailの発現も検証した。【結果】p63の発現(CC 51.0±7.4%、AC 50.0±5.9%)は、正常な皮膚組織と比較して、CCおよびACの肥厚した上皮で有意に高く(p <0.0001)、E-cadの減少が観察された(CC 50.0%、AC 55.8%)が、タイトジャンクションの発現パターンはほぼ正常だった。N-cadはCCおよびACの上皮の基底層および基底上層で部分的に検出された。正常な皮膚組織とは対照的に、PCNAのLIはACで有意に高かった(p <0.0001)。Snailの陽性率はCCで有意に高かった(p <0.0001)。【結論】本研究はp63シグナル伝達経路を介したp-EMTがACおよびCC形成の際に上皮細胞増殖における重要な役割を果たす可能性があることを示した。一方、これらのプロセスでタイトジャンクションの形成と最終分化には影響がなかった。
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