研究課題
若手研究
自己免疫疾患およびGVHD症例における共焦点レーザー生体顕微鏡を用いた血管の形態学的異常の評価に加えて、ヒトGVHDをよく反映するマウスGVHDモデルによる基礎研究の観点から病態解明に取り組み、以下の点を追究する。1)自己免疫疾患およびGVHDにおける眼瞼血管異常の有無について対照との比較検討2)初期病変にかかわると考えられる、血管内皮の異常に至る病態機序と分子基盤の解明3)病的変化を来す血管内皮に発現する分子の中和抗体による病態抑制および新規治療法開発
慢性移植片対宿主病(cGVHD : chronic graft-versus-host disease)モデルマウスにおいて血管やマイボーム腺の病理組織学的検討を行い、血管拡張、蛇行、増生のような形態異常を見出し、研究成果を報告した。またcGVHDモデルマウスの涙腺組織切片においてエクソソーム関連抗体を用いた免疫染色を行い、血管内皮などへの局在を確認した。さらにcGVHDモデルマウスの血清から専用器機を用いてエクソソームを抽出後、そのサイズや濃度を分析し、cGVHD群では対照群と比較して平均粒子径が有意に大きいことを見出した。以上の成果をもとに本疾患の新たな治療標的を探索中である。
自己免疫疾患および慢性GVHDの症例には高度なマイボーム腺機能不全やドライアイが高頻度に合併し、眼瞼に多彩な血管異常を伴う場合が多く認められる。本研究ではcGVHDの病態における血管異常の解明のため、モデルマウスを使用した病理組織学的な検討を行なった。またcGVHDに関連した眼表面の線維化には血液由来の線維芽細胞が関与することが知られ、この細胞はエクソソーム分泌により血管新生を促進することから、エクソソームが病態形成に重要な役割を果たしている可能性に着想し研究を実施した。根治的な標準治療が存在しない本疾患に対して、エクソソームが新たな治療標的となる可能性がある。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件)
The Ocular Surface
巻: 26 ページ: 328-341
10.1016/j.jtos.2021.10.006