研究課題/領域番号 |
19K18908
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56070:形成外科学関連
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
北 愛里紗 札幌医科大学, 医学部, 助教 (20642185)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 細胞老化 / SASP / 脂肪 / 糖尿病性潰瘍 / 創傷治癒 / 難治性潰瘍 / 線維芽細胞 / 骨髄間葉系幹細胞 / 脂肪前駆細胞 / 間葉系幹細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
糖尿病性潰瘍は「糖尿病」という病態が著しく創の治癒を妨げる、難治性の潰瘍である。近年、糖尿病により骨髄機能が異常となることが注目されている。骨髄は、創の修復にかかわる様々な細胞を損傷部位へ供給する重要な臓器である。糖尿病性潰瘍の病態の根本が、骨髄細胞の異常とそれを制御する自律神経の障害であると考え、骨髄に存在する自律神経を修復し骨髄細胞を正常化に導くことが、これまで治療が難しかった糖尿病性潰瘍を根治へ導く鍵であるとの着想に至った。本研究では、間葉系幹細胞を用いて骨髄自律神経を修復することで骨髄機能の改善を目指し、糖尿病性潰瘍の新たな治療法開発へと繋げることを目的とする。
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研究成果の概要 |
糖尿病性潰瘍は再発しやすく難治である。骨髄間葉系幹細胞および脂肪前駆細胞は、糖尿病患者では本来の働きが阻害されることが知られているが、本研究ではこの原因として、皮下脂肪内の間葉系細胞における細胞老化に着目した。結果、糖尿病マウスおよびヒトの創傷治癒過程では、正常で生じるタイミングでは細胞老化が起こらず、創傷治癒後期に老化細胞が蓄積していた。また、老化細胞の分泌因子をメンブレン抗体アレイにて解析したところ糖尿病マウスではCCL-11、MMP-3などが増加しており、線維芽細胞の増殖を抑制することを確認した。以上より糖尿病性潰瘍の創傷治癒障害に老化細胞の異常性が関与している可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により、皮下脂肪における細胞老化の異常が糖尿病性潰瘍に関与していることが明らかになった。細胞老化に介入して創傷治癒を促進するという新しい治療戦略は、難治性であり肢切断のリスクもある糖尿病性潰瘍に、より根治的な治癒をもたらす可能性があり、社会的意義は非常に大きい。また、糖尿病性潰瘍に関する研究では皮膚の異常に着目するものが多い中で、脂肪組織に焦点を当てたことが本研究の特色である。脂肪組織は皮下や内臓周囲、骨髄内など全身に分布している。脂肪組織における細胞老化の異常性を明らかにすることで、糖尿病性潰瘍のみならず、慢性炎症によって生じる様々な疾患に対する新しい治療法の開発に繋がると考えている。
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