研究課題/領域番号 |
19K18929
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56070:形成外科学関連
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
中川 志保 自治医科大学, 医学部, 臨床助教 (60784345)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 確定的放射線障害 / 創傷治癒能 / 脂肪幹細胞 / 培養上清 / 浄化濃縮培養上清 / 再生医療 / 創傷治癒 |
研究開始時の研究の概要 |
幹細胞培養で得られる培養上清は、その細胞自身が産生した生理活性物質(サイトカイン、増殖因子など)を含み、血管新生、細胞の生存率の向上や増殖促進などの目的で、そのままでの臨床応用も一部で始まっている。しかし、培養上清には多量の代謝老廃物も含まれているため、その効果は限定的であり副作用も見られている。本研究では、ヒト由来脂肪幹細胞や血管内皮前駆細胞からの分泌因子の解析(セクレトーム解析)ならびに代謝老廃物の除去法の開発を通して、浄化濃縮後の培養上清による難治性疾患の新たな再生治療法を開発することを目的としている。
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研究成果の概要 |
1.放射線障害モデルマウスの作成。マウスの背部皮膚に総量40Gyの放射線を照射し、照射1~12か月後までの創傷治癒能の経時的変化を調査した。この結果、一時的に治癒が悪化する急性期を越えた後には、創傷治癒能はさらに低下することが明らかにされた。この要因として、組織内の幹細胞が放射線照射により減少していることがわかった。 2.脂肪幹細胞および浄化濃縮培養上清を用いた再生医療の有効性と安全性の検証。上記モデルマウスに創作成を行い、脂肪幹細胞(ASC)混濁液、未浄化、及び浄化濃縮済み培養上清を局注し、創傷治癒効果を評価した。結果では明らかな有意差がみられず、最適濃度や注入方法について検討をしている。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
放射線治療は侵襲の少ない治療法として広く行われているが、その副作用として難治性潰瘍などの皮膚障害があり、その病態や根本的治療法については未だ解明されていない。今回の研究において、脂肪幹細胞が放射線照射により不可逆的に減少していることが病態の一つであることがわかった。 この結果を踏まえ、放射線性皮膚障害の治療および予防方法として、枯渇した脂肪幹細胞の移植、あるいは脂肪幹細胞培養上清の投与により脂肪幹細胞の代わりとなるサイトカインを投与することが有効と考える。とくに培養上清は、細胞を含まないことから汎用性があり、我々は培養上清から有害因子を除去し、有効成分を濃縮した浄化濃縮培養上清を開発している。
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