研究課題/領域番号 |
19K19050
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57040:口腔再生医学および歯科医用工学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
坂口 晃平 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (70801455)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 低酸素 / 細胞外小胞 / エクソソーム / 骨再生 / 間葉系幹細胞 / 細胞外膜小胞 |
研究開始時の研究の概要 |
歯を喪失した患者が歯科インプラント治療を希望するも骨量が不足している場合、骨髄間葉系幹細胞の移植などによる骨再生治療が試みられてきた。研究代表者が所属するグループでは、移植された幹細胞が分泌する液性因子とくにエクソソーム(MSCs-Exo)が骨再生に大きな役割を有していることを明らかにした。さらに予備実験で低酸素条件下で培養回収したMSCs-Exoは通常条件と比し骨再生能を増強する傾向が観察された。 本研究では複数の低酸素条件下で培養回収したMSCs-Exoをラット頭蓋骨骨欠損モデルへ投与し低酸素条件が及ぼす影響を検証し、組織再生効果が高まる理想的な低酸素条件を明らかにし骨再生に有用なmiRNAを同定する。
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研究実績の概要 |
1.低酸素刺激による幹細胞由来エクソソーム:21%と1%の酸素濃度で培養した間葉系幹細胞(MSCs)からエクソソームを回収したところ、1%で培養した場合の方が有意に回収されるエクソソーム量が多かった。透過型電子顕微鏡での観察、ナノトラッキングアッセイにより、1%酸素条件のエクソソームの方が大きな粒径の球体として観察された。 2.低酸素刺激エクソソームが細胞動態にあたえる影響:21%酸素濃度の場合と比べて、1%酸素濃度で培養したMSCsから回収されたエクソソームの方が、Transwell migration assayにおいてラットMSCsおよびヒトMSCsの遊走細胞数が多かった。Tube formation assayをしたところ、1%酸素条件のエクソソームの方がHUVECsの管腔形成が亢進し分岐部が増加した。1%酸素条件のエクソソームをラット間葉系幹細胞に投与したところ、骨形成関連遺伝子(Runx2、Alp、Osteocalicin)、血管新生関連遺伝子(VEGF、Angiogenin1)の発現が上昇した。1%酸素条件と比べ2%および5%、21%酸素濃度条件はMSCsの増殖能や遊走能が低かった。 3.低酸素によるエクソソーム中に核酸におよぼす影響:21%と1%の酸素条件のMSCs由来エクソソームは、小胞内に含有している核酸のプロファイリングが異なっていた。血管新生に対する効果が報告されているmiRNAが含まれている一方で役割が未知なmiRNAも多数認めた。 4.低酸素刺激エクソソームが骨再生にあたえる影響:ラット頭蓋骨骨欠損に1%酸素条件のエクソソームを投与したところ、21%酸素条件と比べ、新生骨形成率がおおきかった。2%酸素や5%酸素の条件は1%酸素条件と比べ新生骨形成率が低かった。免疫組織化学的に欠損断端の近傍を評価し比較的成熟した血管が構築されている可能性が示唆された。
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