研究課題/領域番号 |
19K19221
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
アラム M・トウフィック 北海道大学, 歯学研究院, 学術研究員 (60641694)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2019年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | アデノウイルス / 口腔がん / 腫瘍 / 溶解 / エタノール / 腫瘍溶解ウイルス / 癌 / トランスレーショナルリサーチ |
研究開始時の研究の概要 |
2019年度は、口腔がん細胞への効果検証を中心に解析する。口腔がん培養細胞をエタノール処理し、細胞質に存在するHuRが最も多いエタノールの条件を決定する。次に、その条件下で、Ad+AUの口腔がんに対する腫瘍溶解効果、即ち増殖ウイルス数を確定し、XTT assayにより細胞死を検討する。2020年度は、既存の腫瘍溶解ウイルスONYX-015との比較を行う。ONYX-015とAd+AU+エタノールでどちらがその効果が増強されるか、上述と同様に検討する。
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研究成果の概要 |
本研究では、腫瘍溶解アデノウイルスAd+AUの腫瘍溶解効果が、エタノール処理で増強されるか検討した。エタノールの最適濃度を決定後、Ad+AUのがん細胞に対する腫瘍溶解効果を検討した。その結果、エタノール添加によりウイルス増殖効率およびAd+AUによる細胞死も活性化された。さらに、ヌードマウスにがん細胞の腫瘍を作成し、Ad+AUとエタノールを投与し、腫瘍溶解効果の増強をin vivoで検討した。その結果、Ad+AUはこの腫瘍の増殖を抑制し、ウイルスとエタノール両方で処理した系ではさらに腫瘍の増殖が抑制された。以上の結果より、エタノールによりAd+AUの腫瘍溶解活性が上がることが示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、エタノールによるAd+AUの腫瘍溶解効果増強を証明することができた。この特徴は他の多くの腫瘍溶解ウイルスにはないこのウイルス独自の有利性である。抗がん剤など、これまでのがんの治療法は、患者に対して苦痛や副作用が伴うことが多いが、Ad+AUを用いた治療法は、副作用がなく、使用法も簡便で、他のがん治療法との併用も容易なので、非常に有用な治療法になると期待できる。また、アデノウイルスは病原性が低く、遺伝子治療用のベクターとしての実績もあり、安全性が非常に高く、実用化しやすい。さらに、アデノウイルスは複製効率も高く、生産方法も簡便で安価なため、企業化の面でもメリットが高い。
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