研究課題
若手研究
初年度はmiR-125b の骨芽細胞の増殖・分化段階への影響を確認する。また、miR-125bObl/Venus 不死化細胞の作製、基質小胞の単離を行い、miR-125Obl/Venus基質小胞の骨芽細胞、破骨細胞分化への影響についての検討を行う。次年度以降は、歯牙移動モデルマウスにおける miR-125Obl/Venus基質小胞媒体とした miR-125b の動態と歯牙移動への効果を検証する。その結果、修正が必要となる可能性がある場合には、個体数を増加し、条件修正のための in vitro 実験と並行して行う予定である。
miR-125bの骨代謝への関与を調べるため、骨芽細胞特異的miR-125b過剰発現(Tg)マウスおよび野生型(WT)マウスの頭頂骨細胞由来細胞を培養したところ、Tgマウス由来基質小胞はWTマウス由来基質小胞と比較してmiR-125bレベルが高かったが、骨芽細胞分化および石灰化には影響しなかった。また、両マウスを用いた骨折モデル実験では、仮骨形成(骨折後2週)に差はみられず、その後、破骨細胞数の減少を伴う仮骨吸収遅延が認められた。以上の結果から、骨芽細胞由来miR-125bの骨基質内レベルは破骨細胞形成に関与して骨折治癒過程に影響することが明らかとなった。
補綴前処置のために矯正歯科治療を希望する患者は増加している。しかし、それらの患者の中には、骨粗鬆症や歯周病など骨代謝のバランス崩壊による骨溶解を伴う疾患を持つ者も多い。超高齢化にともない、今後一層その規模は拡大していくことが予想される。本研究では、骨芽細胞形成における miR-125b の影響を明らかにすることで miR-125bの骨リモデリングにおける機能を解明することを目的とした。また、基質小胞を媒体としたmiRNAの DDS の確立を行うと共に、骨代謝疾患に対する基質小胞を介した miR-125b の治療薬としての可能性を検討することで、安全で効率的な新規矯正歯科治療法の確立を目指した。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Communications Biology
巻: 3 号: 1 ページ: 30-30
10.1038/s42003-020-0754-2
120006824053