研究課題
若手研究
今日矯正歯科治療において最も頻用されているマルチブラケット装置は、装着時には接着材にて歯に強固に接着し、撤去時には機械的な力により歯面より引きはがす。そのため、撤去時に患者は疼痛が伴い、さらには歯面に亀裂ができ、冷水痛等の症状が現れることも少なくない。そこで、解決法として必要な時に”はがせる”接着材が必要であると考えた。 本研究では、温度変化により膨潤-収縮変化を示す温度応答性ポリマーを用いて、必要な時”はがせる”新規歯科矯正用接着材を開発する。
矯正歯科治療において最も使用される装置であるマルチブラケット装置は、歯面に接着して用いられるが、治療終了時には撤去する必要がある。現在撤去には、機械的な力で撤去する以外方法はなく、撤去時にほぼすべての患者に痛みが伴う。また、歯面に亀裂が入ることも少なくない。そこで本研究では、温度応答性ポリマーであるイソプロピルアクリルアミドを用いて必要なときに簡便に撤去できる接着材の開発を行った。イソプロピルアクリルアミドを歯科矯正用接着材に添加することで、常温では接着強さは変化しないが、昇温時にイソプロピルアクリルアミドを添加していない接着と比較して接着強さが大きく低下する接着材の開発に成功した。
解体性接着材は、建築、電子工学など様々な分野で関心を集めており、熱可塑性接着材、熱膨張性マイクロカプセル混入接着材、通電剥離接着材などはすでに実用化されている。しかし、歯科では口腔内という特殊な環境下で用いるためトリガーが大きく制限されいまだ、実用化されていない。歯科では、矯正歯科のみならず、再治療により、歯冠の修復物や補綴物を撤去することが多い。その際撤去には健全な歯質を削ることがあり、歯の寿命を縮める。解体性接着材は撤去時の不要な切削を防ぐ可能性を持っている。本研究は、歯科用解体性接着材開発の可能性を見出したものであり、学術的意義、社会的意義高いものと言える。
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J. Nanoscience and Nanotechnology
巻: 20 号: 5 ページ: 2668-2674
10.1166/jnn.2020.17473