研究課題
若手研究
カドミウムは我々が日常生活で非意図的に曝露する重金属であり,動脈硬化症の危険因子である。動脈硬化の進展過程では,血管内皮細胞下層においてLDLコレステロールの蓄積と酸化が生じるが,血管壁に過剰に蓄積したデルマタン硫酸糖鎖はこれらの変化を促進する。これまでに,内皮細胞から分泌されるデルマタン硫酸糖鎖がカドミウムにより増加することが報告されており,この現象がデルマタン硫酸糖鎖の伸長に基づくことを示唆する結果を得ている。本研究では,内皮細胞におけるデルマタン硫酸糖鎖伸長酵素に着目し,その発現と活性にカドミウムが及ぼす影響を解析する。
カドミウムは動脈硬化症の危険因子である。動脈硬化血管壁に蓄積したデルマタン硫酸糖鎖は病変の進展を促進することが知られている。そこで,血管内皮細胞のデルマタン硫酸糖鎖にカドミウムが及ぼす影響を検討した。その結果,カドミウムによるデルマタン硫酸糖鎖の伸長が認められ,糖鎖伸長酵素であるCHSY1がPKCαを介して誘導されることが示された。また,CHSY1がカドミウムによる内皮細胞毒性を増悪させることも明らかとなった。血管におけるデルマタン硫酸糖鎖がカドミウム毒性を修飾し,動脈硬化の進展を促進させることが示唆された。
カドミウムは我々が日常生活で非意図的に曝露する重金属であり,動脈硬化症の危険因子である。動脈硬化の進展過程では,血管内皮細胞下層においてLDLコレステロールの蓄積と酸化が生じるが,血管壁に過剰に蓄積したデルマタン硫酸糖鎖はこれらの変化を促進する。本研究では,カドミウムが内皮細胞におけるデルマタン硫酸糖鎖伸長酵素の発現を増加させることを明らかにした。重金属の毒性学研究を通じて,動脈硬化進展の病理組織学的知見に対する分子基盤を理解する上で重要な知見を示し,人々の健康の維持増進に貢献する結果となったものと考える。
すべて 2021 2020 2019 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
BB Reports
巻: 26 ページ: 101001-101001
10.1016/j.bbrep.2021.101001
BPB Reports
巻: 4 号: 6 ページ: 175-181
10.1248/bpbreports.4.6_175
130008115933
International Journal of Molecular Sciences
巻: 21 号: 10 ページ: 3698-3698
10.3390/ijms21103698
The Journal of Toxicological Sciences
巻: 45 号: 2 ページ: 109-115
10.2131/jts.45.109
130007798450
https://www.c-yamamoto.phar.toho-u.ac.jp/