研究課題/領域番号 |
19K19487
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58040:法医学関連
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
前田 一輔 横浜市立大学, 医学部, 助教 (40724761)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 溺死 / 死因診断マーカー / micro RNA / 溺死診断 / mRNA / miRNA / RT-qPCR / RNA-seq / 診断マーカー / マイクロアレイ / 遺伝子発現 / 鑑別診断 / qPCR |
研究開始時の研究の概要 |
近年、溺死の法医学的診断に関する研究は溺水吸引によって変化するmRNAや蛋白質発現を解析する方法が報告されている。そこで、mRNAより死後でも安定とされ、法医学領域でも注目されはじめた、遺伝子制御に関与する低分子RNA、miRNAを指標とした研究を企画した。本研究では溺死モデルを作製し、溺死において発現変動する遺伝子の網羅的解析並びにその遺伝子制御を行うmiRNAの検索及び発現解析を行い、動物実験で同定された分子について実際の剖検例でも解析を行うことで溺死診断、淡水溺死と海水溺死の鑑別に有用な新規バイオマーカーの発見、さらには溺死の病態を分子生物学的に解明することを最終目標とする。
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研究成果の概要 |
法医解剖における溺死診断に有用な分子生物学的マーカーについてmRNAおよびmiRNAを中心に探索した。溺死モデル動物の肺ではaqp5、trpv4が淡水溺死 (FWD)群でのみ発現変動していた。さらにAQP5の発現制御を行っていると予測されたmiR-185-3pもFWD特異的に発現変動することが明らかとなった。実際の溺死剖検例でもaqp5、trpv4、miR-185-3p発現解析を行ったところ、同様の結果が得られた。miRNAは約20塩基前後の低分子RNAで、死後比較的安定しているとされているため、miR-185-3pはFWDと海水溺死の鑑別に有用である可能性が考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
法医学では様々な事案についてその死因を究明することが重要な責務とされている。近年では全国で年間1000例程度の水中死体の法医解剖がなされている。水中死体は解剖所見ならびに諸臓器のプランクトン検査によって溺死と診断される。しかし、死後変化の進行や溺水場所のプランクトンの存在状況によっては溺死の診断根拠となる所見が乏しくなり、診断が困難となる。本研究ではそれらの問題点を解消すべく溺死特異的に発現変動するmRNAとmiRNAを同定し、分子生物学的な指標を用いた新たな溺死診断法の開発を行うことでこれまで診断が困難であった高度腐敗死体やプランクトンの少ない入浴死における溺死診断の実現を目指す。
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