研究課題
若手研究
筋骨格系疼痛(以下、疼痛)は最も有訴者率が高く、健康寿命の短縮に大きく寄与している症状の一つであり、疼痛有訴者率にも都道府県や市町村間の格差があると予想される。しかし、それを明らかにする研究はなされていない。また、疼痛の発症には、健康格差と密接に関わっている社会経済状況やうつ症状といった心理社会的要因が寄与している可能性が指摘されているが、メカニズムの解明には至っていない。本研究の目的は①疼痛の発症メカニズムを明らかにすること、②都道府県・市町村間における疼痛有訴者率の格差の有無およびその要因を明らかにすることである。
社会経済状況はライフコースに渡って、人々の様々な健康状態に影響を及ぼしている。社会経済状況が人々の健康に及ぼす影響は、構成効果と文脈効果が知られている。本研究は、様々な疫学調査データを用いて、様々な社会経済状況を表す指標や社会経済状況と関連性のある可変的な要因(運動習慣など)が疼痛や疼痛と関連のある疾患などにどのような影響を及ぼすかどうかを検証した。本研究により、社会経済状況や社会経済状況に大きく影響される個人の生活習慣、心理的要因などが様々な症状や症候群と関連することが明らかになった。今後、社会経済状況による格差是正のための政策が求められる。
日本では様々な健康指標で、都道府県や市町村間の地域格差が存在している。「健康寿命の延伸と健康格差の縮小」は、平成25年度からの「健康日本21(第二次)」の基本的方向の第1番目にて明言されており、重層的な対策を検討する必要がある。本研究により、疼痛や疼痛と関連性のある疾患や疾病においても社会経済格差があること、おおくの環境的要因の影響を受ける可能性があることを示した。今後、社会経済状況による格差是正のための重層的な政策や支援がますます重要になることを示すことができた。
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