研究課題
若手研究
光音響イメージングとは非侵襲的に微細な血管・リンパ管の3次元画像が得られる、新たな画像診断技術である。申請者らは、本技術によってdermal backflowを初めて3次元構造として記録した。dermal backflowとは、リンパ液が皮膚浅層に向かって逆流することを示す画像所見であり、リンパ浮腫患者に特徴的なものである。従来の画像検査では、dermal backflowを構成するリンパ管を、詳細に観察することは不可能であった。本研究は、光音響イメージングでリンパ浮腫患者の四肢を撮影し、dermal backflowをリンパ管の3次元的なネットワーク構造を明らかにすることを目的とする。
リンパ液が皮膚浅層に向かって逆流することを示す画像所見「dermal backflow(DBF)」を構成する微細なリンパ管の構造を3次元的に評価するために、リンパ浮腫患者を対象に蛍光リンパ造影と光超音波イメージングの撮影を行った。蛍光リンパ造影で早期にパッチ状に広がっていくDBFの領域は、光超音波画像では3次元的なネットワーク状のリンパ管の構造として観察された。また、過去にリンパシンチグラフィも撮影された患者については、シンチの早期撮影で描出されたDBFは光超音波でも描出され、シンチの後期撮影で描出されたDBFは、光超音波では描出されない傾向があった。
従来の画像検査において見られたDBFは、リンパ液がリンパ管内を逆流した所見であるのか、リンパ液が管外に漏出して描出された所見であるのかが分かっていなかった。光音響イメージングで見られたDBFの所見は、拡張した前集合リンパ管や毛細リンパ管を表しているものと考えられ、リンパ管内を逆流したリンパ管を可視化したものと考えられた。光音響イメージングでこのような画像が得られた理由として、光音響イメージングでは他のモダリティとは異なり間質に漏出した造影剤は検出されにくいため、リンパ管と間質の区別が容易な画像が撮影されることが考えられた。
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Journal of Surgical Oncology
巻: 121 号: 1 ページ: 48-50
10.1002/jso.25575