研究課題/領域番号 |
19K19888
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
小川 佳子 帝京大学, 医療技術学部, 准教授 (90733791)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 慢性腎臓病 / 腎臓リハビリテーション / 運動療法 / 生物学的性差 / 食塩感受性高血圧 / 一酸化窒素 / 酸化ストレス |
研究開始時の研究の概要 |
わが国の慢性腎臓病(chronic kidney disease: CKD)の患者数は約1,330万人と推計され、人口の高齢化を背景に今後さらに増加することが予想されている。腎臓リハビリテーションはこの新たな国民病であるCKDの包括的な治療プログラムであり、運動療法はその中核をなすが、性別によってCKDに対する運動療法の効果に違いがあるかどうかは明らかになっていない。そこで、本研究では、性差を考慮したより効果的な運動療法を提供するための基礎データを得ることを目的とし、運動の腎保護作用に生物学的性差があるか、あるとすればその機序はどのようなものかをCKDモデル動物を用いて検証する。
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研究実績の概要 |
本研究は、慢性腎臓病(chronic kidney disease: CKD)に対する腎臓リハビリテーションプログラムの確立につなげることを目指し、運動の腎保護作用の生物学的性差について明らかにすることを目的とした。食塩負荷により劇症型の高血圧と腎障害を生じるDahl食塩感受性(Dahl salt-sensitive: Dahl-S)ラットの雌を用い、8%NaCl含有の高食塩食の摂取と同時にトレッドミル走運動(16-20m/分、傾斜0度、60分、週5回)を8週間にわたり実施した。その結果、高食塩食は収縮期血圧の上昇、腎重量の増加、尿タンパク排泄量の増加を引き起こしたが、これらの変化はいずれも雄に比べて軽度であり、運動による改善は認められなかった。 高食塩食は、腎臓内の一酸化窒素(nitric oxide: NO)産生の指標のである尿中Nitrite/Nitrate(NOx)排泄量を増加させ、高食塩食による尿中NOx排泄の増加量には雌雄で有意差はみられなかった。運動は高食塩食負荷時の尿中NOx排泄を変化させなかった。また、高食塩食は、腎臓内の酸化ストレスの指標である尿中過酸化水素(H2O2)排泄量および尿中チオバルビツール酸反応物質(thiobarbituric acid reactive substances: TBARS)の排泄量を増加させたが、雌におけるH2O2およびTBARSの尿中排泄量は通常食摂取時も高食塩食負荷時も雄に比べ有意に低かった。運動は雄ラットにおいては高食塩食負荷時の酸化ストレスを軽減させたが、雌ラットにおいては運動による尿中H2O2およびTBARSの軽減は認められなかった。 以上よりDahl-Sラットにおける高食塩食負荷による高血圧および腎障害には性差があり、雌の障害は雄よりも軽度で、それゆえに運動の腎保護作用も得られにくいことが明らかとなった。
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