研究課題/領域番号 |
19K20039
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
寺口 司 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 招へい研究員 (30779567)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 体罰 / 非人間化 / 潜在的態度 / 攻撃行動 / SNS / 道徳からの選択的離脱モデル / 正当化 / IAT / 道徳からの選択的離脱 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,被害者となる運動部員に対する態度に着目する。運動部員を人間未満と捉える(非人間化)ために体罰を正当化するという心理メカニズムを解明し,この非人間化態度を当人にフィードバックすることで体罰容認の態度を改善させることを目的とする。 研究期間を通して、指導者が運動部員を無意識レベルで非人間化しているかどうかの測定指標を開発し、指導者が潜在的態度を自覚することで意識が改善されるかを検討する。
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研究成果の概要 |
体罰根絶に対する先行研究のアプローチは「体罰への態度の改善」と「体罰の効果性の否定」の2点であったものの、「被害者に対する認識の改善」について検討がなされてこなかった。本研究の目的は、体罰の正当化に被害者 (運動部員) に対する非人間化が影響しているかどうかを検討することであった。運動部員の非人間化について潜在的態度・顕在的態度の両面を検討したところ、顕在的に運動部員を動物的に見ることによって体罰に対してより容認的な態度を持つことが示された。また非人間化の信念は固定的な特性ではなく、変動する状態的な信念であることが示唆される。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
体罰の容認的態度を引き起こす要因として、これまでは体罰という行為そのものやその結果への認知のみが扱われてきた。しかし本研究で扱った「被害者への認知」が損なわれた場合、たとえ体罰が悪いと認識していたとしても体罰を容認する可能性がある。本研究の結果から被害者への認知のうち、運動部員への非人間化によって体罰を容認する危険性が示唆できたことは、社会的意義があると言えよう。特にこれらは部員の態度や行動などから容易に変わりうる可能性も見られる。今後はこの結果を元に、部活動指導者に対して運動部員に対する認知枠組みを改善する教育プログラムなどが提案されうる。
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