研究課題/領域番号 |
19K20172
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 (2021-2022) 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター (2019-2020) |
研究代表者 |
川口 耕一郎 京都工芸繊維大学, 応用生物学系, 講師 (10794274)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 慢性炎症 / 加齢 / 脂質代謝 / 脂肪酸 / 脂肪酸結合タンパク質 / 細胞老化 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者はこれまでに、上皮細胞型脂肪酸結合タンパク質(FABP5)が細胞の代謝制御を介し炎症や癌などの疾患の発症・進展に関与することを見出している。また、近年、脂質恒常性の破綻は細胞老化を加速させ、慢性炎症をはじめとする様々な疾患の発症要因となることが知られている。しかしながら、その分子基盤に関しては未だ確立されていないのが現状である。本研究課題は、生体の脂質恒常性に着目し、培養細胞・加齢育成マウス・老化細胞イメージングマウス等を用いて、加齢に伴って発症する慢性炎症におけるFABP5の役割を明らかにし、FABP5を標的とした慢性炎症の治療応用へと展開するための分子基盤の確立を目指す。
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研究成果の概要 |
加齢に伴って発症する脂肪組織の慢性炎症におけるFABP5の役割を明らかにするため、培養細胞およびノックアウトマウスを用いて解析を行った。3T3-L1細胞を用いた解析から、脂肪細胞においてFABP5の発現はNFκBにより主に制御されていることがわかった。また、老齢FABP5ノックアウトマウス由来脂肪組織ではIL-6、IL-18等の発現量が低下していた。これらの炎症性サイトカインはNFκBにより制御されることから、FABP5がNFκBシグナルの制御に関与することが判明した。したがって、加齢した脂肪組織ではNFκB -FABP5の炎症活性化ループの存在により炎症が慢性化している可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
我が国では超高齢化が進行する一方で、人口動態の劇的な変化は現状期待できない。したがって、がんや生活習慣病などの加齢性疾患に対する治療法や予防法の開発は、単に患者のQOL向上に貢献するだけでなく、社会全体の生産性向上ひいては我が国の国力増進につながる。本研究により得られた成果は、加齢性疾患の基盤病態である慢性炎症の病態解明に資するものである。今後さらに本研究を発展させることで、加齢性疾患の予防を通して超高齢化社会における高齢者の健康維持に寄与し、持続可能な少子・高齢化社会の構築が期待できる。
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