研究課題/領域番号 |
19K20225
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分60030:統計科学関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
八木 文香 東京理科大学, 理学部第一部応用数学科, 助教 (40823547)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 単調欠測データ / 最尤推定量 / 成長曲線モデル / 統計的仮説検定 |
研究開始時の研究の概要 |
経時的な実データのモデル化のひとつである「成長曲線モデル」において,データが単調欠測し(一度欠測するとそれ以降も欠測し続け)てしまっていることが多々みられるが,その際の統計的推定や仮説検定手法についての十分な議論がない.そこで本研究では (A)単調欠測データの下での成長曲線モデルにおけるパラメータの推定及び検定 に取り組む.さらに課題(A)に関連して (B)単調欠測データにおける分散共分散行列に関する検定 (C)単調欠測データにおける平均ベクトルの検定に対する新たな検定手法の提案 にも取り組む.それぞれの課題について,検定統計量及びその帰無分布を導出し,欠測データに対する新たな検定手法を開発する.
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研究実績の概要 |
(I)単調欠測データを持つ平均ベクトルと分散共分散行列の同時検定と,(II)単調欠測データを持つ平均ベクトルの検定に対する新たな検定手法についての研究成果をいくつか得た. (I)については,2021年度にテクニカルレポートとしてまとめていた1標本問題の3-step単調欠測データにおける「平均ベクトルと分散共分散行列の同時検定」における尤度比検定統計量に関する議論を多標本問題の場合に拡張した.具体的には,多標本問題のデータに欠測がない場合の分散共分散行列の検定や同時検定の修正尤度比検定統計量に着目して,この検定統計量の帰無分布のカイ二乗近似を改良する検定統計量や近似上側パーセント点をいくつか提案した.また,いくつかのパラメータに対してモンテカルロ・シミュレーションを行い,その近似精度の良さを示した.これらの成果をテクニカルレポートとしてまとめ,学術雑誌に投稿した. (II)に関しては,一般ステップの単調欠測データにおける平均ベクトルの多重比較問題について,2021年度までに提案した新たな検定統計量が基となる漸近展開による新たな近似上側パーセント点を提案し,それを用いた平均ベクトル間の対比較や対照比較に対する近似同時信頼区間を与えた.モンテカルロ・シミュレーションによりこの近似の有用性をいくつかのパラメータに対して示した.この成果を学会にて発表し,さらに2021年度までに得ていた関連する1標本問題や2標本問題の成果とともにテクニカルレポートとしてまとめた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」で記載の(I)に関してはおおむね計画通りに成果を得ることができた.(II)については,予定していたよりも少し多くの成果を得ることができた.具体的には,追加で平均ベクトル間の多重比較法に関する議論も行える見込みがあることに気付き,そのための計算を進めた.モンテカルロ・シミュレーションを行ったところ,過去に自身が提案したものよりも改良している点があることがみてとれたため,新たな近似上側パーセント点として今回提案した.
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今後の研究の推進方策 |
「研究実績の概要」で記載の課題(I)の3-step単調欠測データを持つ平均ベクトルと分散共分散行列の同時検定問題について,一般のk-step単調欠測データの場合への拡張を考える.2022年度は取り組むことができなかったので,2023年度に取り組む予定である.また,(II)に関連して,簡便なT二乗型検定統計量を用いた平均ベクトル検定についての2標本問題に関する論文が2022年度に学術誌に掲載されたが,この検定統計量の帰無仮説の下での分布関数の漸近展開を,相関を考慮した上で導出することを検討する.
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