研究課題/領域番号 |
19K20472
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分64020:環境負荷低減技術および保全修復技術関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
中田 北斗 北海道大学, 獣医学研究院, 博士研究員 (60815273)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 鉛中毒 / 鉛汚染 / 低コスト / ALAD / 酸化ストレス / ラット / モリンガ / Moringa Oleifera / アミノレブリン酸脱水酵素 / toxicokinetics / Sprague Dawley rat / 土壌汚染 / 治療 / 環境修復 |
研究開始時の研究の概要 |
鉛はその廉価性や利便性から人類の生活に欠かせない金属である一方、採掘活動に伴う鉛汚染により、途上国を中心に年間23万人が鉛中毒で死亡している。鉛の毒性評価や環境モニタリングは広く行われているが、有効な鉛中毒の治療法や汚染環境の修復法は皆無である。本研究では、世界各地に自生し栽培が容易な植物モリンガを用いて、鉛中毒の治療法および汚染環境の修復手法の開発を目指す。
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研究成果の概要 |
ラットを用いた動物実験で、モリンガ投与は生体内の鉛蓄積量や糞便への排泄量に明らかな影響を与えなかった一方、貧血などの血液毒性の発現に関わるALAD酵素活性の阻害を有意に抑制することが示された。また、鉛の毒性機序のキーイベントである酸化ストレスについても、有意に低下させた。 種子を用いた汚染土壌のカラム試験では、カラム全体に均一に種子を混合させることで、透過させた水への鉛流出量を低下させることができた。汚染土壌で栽培されたモリンガ葉には基準値を超える鉛が蓄積した一方で、種子では基準値を下回った。以上より、モリンガが鉛中毒および鉛汚染の克服に有用であることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
抗酸化能をもつモリンガの投与が、鉛の毒性低下に繋がることが予想された。本研究では、そうした仮説が実証された。また、モリンガ種子は表面に鉛等の金属類を吸着するため、この性質により土壌の汚染拡大を防止すると考えられ、カラム試験における浸出水で一定の成果が得られた。鉛汚染は国際課題であるが、その汚染の多くは途上国で起きており、中毒患者の大部分は貧困層である。社会の実情に即した低コストかつ持続可能な解決策の構築に、本研究は一定の役割を果たした。
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