研究課題/領域番号 |
19K20532
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
柴山 由理子 東海大学, 文化社会学部, 講師 (40824868)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | フィンランド / 政党政治 / 社会政策史 / 健康保険 / 農民政党 / 社会民主主義政党 / 普遍主義 / NATO加盟 / ポスト工業社会の社会政策 / 選挙 / 年金制度 / リベラリズム / 社会政策 / 社会民主主義 / サンテリ・アルキオ / 社会民主党 / 北欧 / 国民年金機構(Kela) / 社会民主主義レジーム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、フィンランドの政党政治についての研究、および政党政治の社会政策形成過程への影響から、フィンランドの社会政策の特徴を明らかにする。特に中央党 (前身農民同盟)の社会政策への影響力が強いことを明らかにし、北欧福祉国家の形成における農民政党と社会民主主義政党の役割を理解することで、北欧型福祉国家の「普遍主義」への解釈を深めていく。北欧型福祉国家の本質を問うことは、ポスト工業社会における社会保障改革・北欧型福祉国家の変容をも理解する手掛かりとなると考える。
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研究実績の概要 |
2022年度の主な成果として昨年度のフィンランドの年金制度と政党政治の関連に引き続き、同国の健康保険制度と政党政治の関係に焦点を当てる研究を進めることができた。11月に北ヨーロッパ学会で「フィンランドにおける健康保険導入をめぐる議論 ―1950年代以降の政治過程に焦点を当てて」を報告するとともに、「北ヨーロッパ研究第19巻」に論文を投稿し現在審査中となっている。 その他、フィンランドのNATO加盟申請に関連して、「〈中立政策の終焉〉フィンランドの歴史的転換―NATO加盟へ苦渋の決断」(「特集2 侵略の代償―ウクライナ危機と国際社会」212-219頁、岩波書店『世界』2022年7月号」)を寄稿、11月に民主主義科学者協会のコロキウム②「『ウクライナ戦争』のインパクト」で「北欧中立国へのインパクト―フィンランドを中心に」ついて報告し紀要に投稿している。 2023年3月には3年ぶりにフィンランドでの研究調査を実施することができ、資料の収集、研究者・研究機関やジャーナリスト、政党事務所を訪問し、研究を進めることができた。NATO加盟申請の動きを注視するとともに、国内政治の動き、特に2023年4月2日実施の国政選挙の動向と福祉政策の動きに注目し選挙の動向の分析を始めている。 その他、フィンランドの政党研究に関連する文献の翻訳を昨年度に引き続き継続して行い、依頼講演「北欧モデルは日本の人的資本にどのような利益をもたらすか?」(北欧五ヶ国大使館合同セミナー、フィンランド大使館で実施)や依頼原稿「デザインと社会をつなぐ北欧の思想」(『ていねいに美しく暮らす北欧デザイン』パイインターナショナル編、2023年、264-265頁)や「「合理的にリスクを取る」北欧流人間形成「ビルドゥン」とは何か?」(Forbes Japan2022年5月発売号、Forbes編集部との共著)を執筆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
おおむね研究は順調に進んでいるが、2019年から2022年の3年間現地での調査が出来なかったことで、資料の収集や聞き取り調査などが十分に行えず、研究に遅延が見られる。2023年3月に現地調査を実施でき、今年度も現地調査を行うことで遅れを取り戻せる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
今年度と同様、2023年度も①フィンランドの政党政治に関する研究、②フィンランドの政党政治の社会政策への影響、③フィンランドの社会政策の特徴と北欧 型普遍主義の再考、④ポスト工業化社会の社会政策の議論を柱に研究を進めていく。2023年度は、これまでの研究を整理し、北欧型福祉国家におけるフィンラ ンドの特徴について比較政治学の視点から最終成果をまとめて発表・投稿していくことが大きな目標である。 引き続き政党政治に関する書籍の翻訳も引き続き行っていく。また国際的な学会への所属や北欧における政治学研究の研究者とのネットワークを構築していきたい。
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