研究課題/領域番号 |
19K20552
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 神戸大学 (2020-2022) 立正大学 (2019) |
研究代表者 |
原 将也 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 助教 (00823147)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ザンビア / 北ローデシア / 伝統的権威 / チーフ / 地方行政 / 間接統治 / 多民族 / 地域社会 / 移入 / 権力 / 移住 / 統治構造 / 混住 / 植民地統治 / 共生 / 多民族社会 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では植民地期以降現在までのアフリカにおいて、間接統治のもと権力が強化された伝統的権威(首長またはチーフ)に着目し、多民族社会が成立する要因を実証的に解明することを目的としている。具体的には、現在まで民族間の争いがないザンビアの多民族農村で「地方行政における伝統的権威の役割」「伝統的権威の裁量と異民族の受け入れ」「住民による伝統的権威の評価」の3点を検証し、複数の民族がともに暮らす社会が形成され保持されてきた要因を探る。
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研究実績の概要 |
本研究では、植民地期以降のザンビア北西部において、地域の統治に関わる伝統的権威に着目し、多民族社会が成立要因を解明し、共生社会を実現する社会の統治構造を探ることを目的としている。 2022年度には、日本を含む各国の水際対策が緩和されたことがあり、3年ぶりに11月にザンビアに渡航し、現地調査を実施することができた。地方行政における伝統的権威に役割について、村長やチーフ、その側近などに聞き取り調査を実施した。これまでの調査と資料の分析より、植民地期から現在までチーフが実質的に地域を治める重要な存在であることは明らかであったが、伝統的権威側の視点から分析することができていなかった。調査地ではチーフの判断によって、多民族の人びとを受け入れ、土地を分配しており、その方針が現在まで継続していることを確認することができた。 また、コロナ禍で延期していた住民に対するチーフの評価に関する聞き取り調査を実施した。住民にとって、チーフは自身の暮らしを見守り、庇護してくれる存在であり、直接的な利益がなくとも、チーフの存在は重要であるというように評価する人がいることが明らかとなった。一方で、チーフをあからさまに否定する評価を聞くことはなく、地域を統治する存在であるがゆえ、発言しにくいこともある可能性が示唆され、繰り返し注意深くアプローチする必要がある。 コロナ禍でさまざまな制約があるなか、現地調査を実施することができた。2022年度は、ザンビアでの現地調査に注力した。成果としては、これまでの資料による分析と2022年度の渡航における成果を含め、招待講演として発表した。また伝統的権威の役割と多民族地域の形成に関する論考を執筆し、投稿している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症によって、2020~2021年度の2年間、ザンビアに渡航して調査することができず、いまだデータが不十分である。収集した資料の分析を進めてきたが、それだけでは限界があり、現在の実態について知るためには、やはり現地調査が必要である。2022年度には渡航し、調査を実施することができ、現在の実態についてデータを得ることができた。しかし得られた情報に偏りがないかどうか見極めるため、現地調査を実施する必要があり、進捗はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症の影響によって、1年間の研究期間の延長を申請した。2023年度には、とくに住民による伝統的権威の評価に関する追加の現地調査を実施する予定である。また、植民地期の1924年までの地方行政について不明な点が多く、この時期の資料を収集する。これらによって、植民地期から現在までの地方行政における伝統的権威の役割について通時的に分析、考察し、成果をまとめる。
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