研究課題/領域番号 |
19K20553
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 金城学院大学 |
研究代表者 |
大嶋 えり子 金城学院大学, 国際情報学部, 講師 (90756066)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 共同体主義 / フランス政治 / 移民 / 移民政策 / ムスリム / 分離主義 / ユダヤ人 |
研究開始時の研究の概要 |
2016年に〈ブルキニ〉がフランスで波紋を呼んだ。ムスリムが〈共同体主義〉を体現しているとされた。この概念は国籍にかかわらず、マジョリティとは異なる出身地域や宗教などの文化的習慣に基づいたエスニック・グループが平等や非宗教性などといった共和国の原則を受け入れず、特別な権利を主張する現実あるいは想像上の現象を批判的に指し示す。すなわち政治的コノテーションが強い。この概念の使用を分析する上で、共同体主義を体現しているとして批判されてきたムスリムに関する言説と、独特の文化を共有しているにもかかわらず共同体主義として批判されないユダヤ人に関する言説と比較し、なぜこうした違いが生じたのかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
2022年度は(旧)植民地からフランスに移動した者の経験、とりわけアルジェリアからフランスに移動したアルジェリア人や引揚者が持つ記憶をどのようにフランス政府が扱ったのかを考察した。アルジェリアは解放された1962年からマクロン政権までの動きを通じ、関連する諸政策がどのような変遷をたどり、どのような言説が展開されたのかを検討し、マクロン政権下の進展と限界を明らかにした。 また、他の研究者との議論を通じて、東アジアの帝国史との比較も行った。より具体的にいえば満州などからの引揚者や在日朝鮮人の経験と、アルジェリア―フランス間に見られる事象の比較検討は、帝国の比較研究への試みとなった。 一方で、2023年度に本格的に分析するための、ユダヤ人に対する「共同体主義」批判を展開した政治家や論客の資料収集を行った。分析はまだできていないが、ムスリムに対する同様の批判と比べると、かなり批判は少ないと推定される。ムスリムとユダヤ人のコミュニティは規模が異なるため、より数が少ないユダヤ人批判にさらされにくい状況がある、と考えられる一方で、19世紀以降のフランスにおけるユダヤ人の歴史を見ると、反ユダヤ主義的思想の影響も相まって管理や統制の対象となってきた経緯があり、その点は現代におけるムスリムと類似するといえる。そうした点も踏まえて、両コミュニティに対する「共同体主義」批判の比較検討のための準備をおこなってきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ユダヤ人に対する「共同体主義」という批判については検討が2022年度時点では充分に行えていないが、2023年度にこの部分を実行する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度にはユダヤ人に対する「共同体主義」批判について考察する予定である。秋には日本政治学会大会で、主要政治家や論客によるユダヤ人コミュニティに対する「共同体主義」批判の言説の分析結果を発表する予定である。
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