研究課題
若手研究
心不全は癌に匹敵する致死性疾患であり、高齢化社会で激増している。その本態は左心房圧上昇に起因する肺ガス交換不全・呼吸不全である。近年、左房圧上昇を抑制する心房間シャントデバイスが開発されたが、 副作用として肺高血圧症が危惧されている。患者個別の心機能によりシャント量が変わるため、安全かつ最適なシャントサイズを選定不可なことが問題となっている。本研究では、個別患者の心機能に基づいて治療効果(左房圧上昇抑制)が高く、リスク(肺高血圧症)の低い最適なシャントサイズ選定を可能とする循環動態予測システムの開発を行う。将来は、患者個別に心房間シャントを最適化可能なテーラーメイド治療に発展可能である。
近年開発された心房間シャントデバイスは左房に負荷が増加した際に血流を右房へ流出されることにより左房圧の上昇を抑制でき、肺うっ血の抑制が期待できるが、臨床試験では、明らかな予後改善効果は示すことができていない。心房間シャントデバイスの効果を予測し、デバイス使用の最適化へつなげる研究を進めた。包括的循環平衡理論を用いて、心房間シャントデバイスによる循環動態の変化を予測するシステムを構築した。大動物(雑種犬)で心房間シャントを作成し、予測した血行動態が実測値と精度よく一致することを確認した。急性モデルに加えて、慢性シャントモデルで同様の実験を行い、提案理論の妥当性を実証し、論文で報告した。
本研究は心房間シャントデバイスの最適化に向けて、個別の循環動態の効果を事前に予測する試みである。本研究は患者個別に心房間シャントの血行動態的影響を明らかにするもので、適応・サイズ選択を最適化する。個別にリスク・ベネフィットを最適化することにより、従来実証できなかった予後改善効果へとつながることが期待できる。
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すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 11件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)
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