研究課題/領域番号 |
19K20702
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分90120:生体材料学関連
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研究機関 | 公益財団法人川崎市産業振興財団(ナノ医療イノベーションセンター) |
研究代表者 |
持田 祐希 公益財団法人川崎市産業振興財団(ナノ医療イノベーションセンター), ナノ医療イノベーションセンター, 副主幹研究員 (60739134)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ドラッグデリバリーシステム / 高分子ミセル / 経口投与 / がんの標的治療 / 白金抗がん剤 / 酸化還元反応 / 免疫チェックポイント阻害剤 / 腸管吸収 |
研究開始時の研究の概要 |
制がん剤の投与法のうち経口投与は、がん患者の身体的負担・社会的負担・経済的負担を最小化できる理想的な投与法とされるが、がんの標的治療への応用が期待される高分子ミセル型薬物送達システムは、消化管内環境に対する耐性や消化管内から血中に取り込まれる過程に存在する多段階の生体バリアの突破能について課題が山積みである。そこで本研究では、経口投与で全身のがんを治療できる新規プロドラッグ型制がん剤内包高分子ミセルの開発することを目的とし、経口バイオアベイラビリティを最大化するプロドラッグ型ミセルの構造要件の同定とその機構の解明、並びにプロドラッグ型ミセルの経口投与によるがん治療効果の評価に取り組む。
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研究成果の概要 |
経口投与用の制がん剤は、がん患者の身体的・社会的・経済的を軽減できるため好ましいが、消化液・胆汁に対する耐性と消化管壁の透過性に課題がある。本研究では、がん組織で活性化するプロドラッグ型の制がん剤内包高分子ミセルを開発した。このプロドラッグミセルは、消化液・胆汁に対して十分な安定性を示しながら、がん細胞内を模倣した還元剤存在下では、薬物を徐放した。また、極めて優れた薬物動態特性を示し、マウス大腸がんモデルに対して高い抗腫瘍効果を示した。さらに、免疫チェックポイント阻害剤との併用により治療効果はさらに向上した。以上より、プロドラッグ型ミセルの新規制がん剤としての高い潜在性が実証された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
薬物の経口投与は、注射による経静脈投与と比べて患者の身体的負担が少ない。また、患者自身で服薬することで治療コストを30~70%も削減できる可能性がある。さらに、がんの在宅治療を実現するためは、経口投与可能な高活性な制がん剤の開発は極めて重要と言える。本研究では、経口投与で利用可能な制がん剤内包高分子ミセルの開発を目指した。高分子ミセルのプロドラッグ化という斬新な方法により、消化液・胆汁に対する耐性とがん細胞内での薬効発揮を両立させることに成功した。また、プロドラッグ型ミセルと免疫チェックポイント阻害剤を併用することで、マウス大腸がんモデルで完全奏効率100%を示すなど顕著な有効性が示された。
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