研究課題/領域番号 |
19K20755
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補助金の研究課題番号 |
16H07394 (2016-2018)
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 (2019) 補助金 (2016-2018) |
研究分野 |
教育社会学
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研究機関 | 大月短期大学 |
研究代表者 |
冨田 知世 大月短期大学, 経済科, 准教授 (40783725)
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研究期間 (年度) |
2016-08-26 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2017年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2016年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 地方公立進学高校 / 大学受験 / 教師の行為 / 新制度派組織社会学 / 受験 / 教師 / 行為 / 地方の進学校 / 新制度派組織理論 / ミクロレベル / 進学校 / 教育社会学 / 実践の制度化 / 地方 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、地方公立進学高校には、人口減少問題の高まりを背景に、若者の県外流出を促してきた機関として疑義のまなざしが向けられつつある。しかし、1990年代には「学力向上問題」への関心から、特に東北地方では、各地域の公立進学高校の受験指導の強化が県教育委員会によって促された経緯がある。そこで、現在疑義を向けられている地方公立進学高校の受験指導が、どのような過程を経て構築されたのか、それは現在に至るまでにどのような変容を遂げているのかを明らかにし、今後の地方公立進学高校の受験指導の行方を考察することにしたい。
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研究成果の概要 |
本研究では高等教育進学者が増大した1990年代に、地方県の公立進学高校で、県外の難関大学進学実績の向上を目指した「受験請負指導」が制度化されていった様子を東北地方A県の公立進学高校を事例とし、明らかにした。しかし2010年代後半にA県教育委員会は県内公立進学高校に探究科の設置を決めたことなど、受験請負指導は脱制度化していた。また、探究科設置という施策は、人口減少期の若者を地元定着させるためという位置付けも与えられ、一方で1990年代の受験請負指導は若者を県外流出させる指導とされてしまった。背景に地方創生政策が地方県の高校教育政策に強く影響を及ぼす行政的・政治的体制が存在したことがわかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的意義は教師の行為を理解する「文化-認知的制度モデル」を提供したことにある。このモデルでは教師の行為の「行動原理」として、ミクロレベルで構築される認知枠組みの存在をとらえ、それが、時間・空間を越えて広く影響を与える制度となることを示した。本研究の社会的意義は、事例とした受験請負指導が内包する、教師間の競争システムの危険性を示した点である。受験請負指導は難関大学合格者数の向上という「成果」を得られれば教師の達成感の源泉となる。しかし、「成果」を得られなくなったとしても、教師間の競争システムは稼働を続けるため、教師たちは過剰な負担感にさいなまれることを明らかにできた。
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