研究課題/領域番号 |
19K20791
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補助金の研究課題番号 |
18H05582 (2018)
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 (2019) 補助金 (2018) |
審査区分 |
0102:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 近畿大学 (2020) 神戸市外国語大学 (2018-2019) |
研究代表者 |
松村 志乃 近畿大学, 国際学部, 講師 (40812756)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2018年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | シンガポール華人文学 / 馬華文学 / 中国当代文学 / 王嘯平 / 茹志鵑 / 王安憶 / シンガポール / 中国語圏文学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は女性作家の茹志鵑、王安憶並びに茹の夫でシンガポール華人の劇作家王嘯平という、現代中国の歴史に翻弄されながら生きた文芸一家のテクストを対象に、中国革命から今日に至る中国の文化と社会を考察するものである。まず、これまで研究されてこなかった王嘯平研究の基礎を構築し、その精神的営為を「華語語系文学」や「馬華文学(マレーシア華人文学)」といったタームの中で位置づける。同時に、1940年代から2000年代にかけて執筆された茹志鵑、王嘯平、王安憶といった文芸一家のテクストをそれぞれの国家、歴史、生活の価値観をめぐる対話と応答と仮定し、双方向的に読み解いてゆく。
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研究成果の概要 |
本研究は中国の著名文学者茹志鵑、王安憶ならびに英領マラヤ出身の王嘯平から成る文芸一家のテクストを総合的に検討するものである。まず1940年代から2000年代にかけて書かれた茹志鵑、王安憶のテクストにおける王嘯平像を検討し、共産主義の理想を胸に渡中した王嘯平の揺れ動くアイデンティティを明らかにした。そのうえで、日本でもよく知られる王安憶の散文と合わせる形で、王嘯平の散文を翻訳、紹介した。これまで20世紀半ばに共産主義革命のために渡中した南洋華僑の文学者は十分に検討されてこなかった。本研究は中国在住の家族という視点から、南洋華僑の文学者王嘯平の複雑な思想の多面的検討を行ったといえるだろう。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の成果は、国際シンポジウムでの報告や、論文と翻訳の著書出版という形で、より広く社会に問う機会に恵まれた。国際シンポジウムでは、王嘯平というほぼ無名の華人文学者を、現代中国の著名作家の家族のテクストから読み解くという手法が評価された。それを踏まえた拙論はより説得的に、従来中華人民共和国の文学の枠内で語られる茹志鵑や王安憶の新たな視角を提供したほか、「馬華文学(マレーシア・シンガポール華人文学)」の研究成果としても評価され、マレーシアで出版される論文集への掲載が予定されている。総じていえば、本研究は従来の国民国家文学を超えようとする世界的な議論へわずかながら貢献したといえるだろう。
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