研究課題/領域番号 |
19K20918
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補助金の研究課題番号 |
18H05721 (2018)
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 (2019) 補助金 (2018) |
審査区分 |
0108:社会学およびその関連分野
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研究機関 | 国立社会保障・人口問題研究所 (2020) 立教大学 (2018-2019) |
研究代表者 |
斉藤 知洋 国立社会保障・人口問題研究所, 社会保障基礎理論研究部, 研究員 (00826620)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2018年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ひとり親世帯 / 社会階層 / 就労自立支援 / 地位達成 / 計量分析 / 貧困・低所得 / メンタルヘルス / 公的統計 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,日本社会で近年増加しつつあるひとり親世帯が直面する生活機会の不平等を社会階層論の観点から検討する.ここでの生活機会(life chance)とは、主に①ひとり親世帯の形成リスク,②ひとり親の就労,③子どもの社会経済的地位達成を指す.主たる研究方法は,全国規模の確率標本調査データに対する統計的分析である. 一連の分析を通じて,(1)2002年以降の「給付(福祉)から就労へ(welfare-to-work)」のひとり親世帯福祉施策の転換が,ひとり親世帯の生活水準に与える政策的インパクトと(2)家族構造による,子女の地位達成上の不平等の生成メカニズムについて総合的解明を試みる.
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研究成果の概要 |
日本社会においてひとり親世帯が直面する社会生活上のリスクについて、社会階層論の視点から検討した。具体的な研究課題として、①ひとり親世帯の形成リスク、②就労と貧困・健康水準の関連、③子どもの社会経済的地位達成を設定し、それらについて社会調査データに対する統計解析を通じて検討を行った。分析からは、出自的背景が恵まれない低階層の人々の間でひとり親世帯の発生を経験しやすいこと、シングルマザーの多くが正規雇用就労を達成したとしてもその半数以上が経済的貧困に脱していないこと、親世代の不安定な社会的地位が家族生活の不安定性を介して、子世代にも継承されうること等が明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的意義は、貧困・就労・健康・教育などの生活領域におけるひとり親世帯内部の階層差を明らかにした点である。一般的な学術調査では十分に把握し難いひとり世帯の生活実態を、公的統計の個票データによって把握した数少ない計量社会学的研究であり、研究成果が他の社会科学分野(人口学・経済学・福祉学など)へ還元されることが期待できる。 得られた諸知見は、2000年代以降に展開されたひとり親世帯の就労自立支援施策に対して多くの政策的含意を有する。所得再分配政策に加えてジェンダー中立的な生活保障システムの構築が、ひとり親世帯の生活機会の格差・不平等を是正・解消することに繋がりうるとの示唆を得た。
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