研究課題/領域番号 |
19K21022
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補助金の研究課題番号 |
18H05831 (2018)
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 (2019) 補助金 (2018) |
審査区分 |
0201:代数学、幾何学、解析学、応用数学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
藤野 弘基 名古屋大学, 高等研究院(多元), 特任助教 (90824037)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2018年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | タイヒミュラー空間 / 擬等角写像 / 反ド・ジッター空間 / 極大曲面 / 極小曲面 / 鏡像の原理 / 普遍タイヒミュラー空間 / 無限次元タイヒミュラー空間 / 退化ベルトラミ方程式 |
研究開始時の研究の概要 |
無限型リーマン面に対し、そのタイヒミュラー空間内における退化現象を研究する。無限個の穴を空けた複素平面は無限型リーマン面の典型例を与えるが、この場合には申請者によっていくつかの結果が得られている。本研究では「無限個の穴を空けた複素平面に対する研究」を一般化できるような無限型リーマン面のクラスを設定し議論を行う(下記研究課題A)。またその上で退化現象の分布を調べるために、適切なタイヒミュラー空間の理想境界を構成する。そのために退化現象をその特徴によって分類することも本研究における課題の一つとする(下記研究課題B)。
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研究成果の概要 |
3次元ユークリッド空間内の極小グラフ(極小曲面であってグラフとして書けるもの)全体と3次元ミンコフスキー空間内の極大グラフ全体との間には自然な双対対応がある。この双対対応によって、前者に対する「無限境界値問題」が後者に対する「光的線分境界値問題」と対応することを示した。さらにこれらの境界値問題の解に対し、“双対対応”と“共役曲面を取る”という操作によって曲面に現れる対称性がどのように移り変わるか明らかにした。 また3次元ミンコフスキー空間内の極大曲面に対し「境界上の光的線分に関する鏡像原理」を発見した。この鏡像原理を用いることによって特異性を持った複雑な周期極大曲面を構成することが可能となる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
境界値問題の対応を示したことにより、一方の境界値問題について既に知られている事実を翻訳して他方の境界値問題に対する結果を得ることができる。例えば、「極小グラフに対する無限境界値問題」の研究の一つの到達点と言える、ジェンキンス・セリンらの結果(1966年)を翻訳して「極大グラフに対する光的線分境界値問題の可解性と一意性」の結果が得られる。 また「境界上の光的線分に関する鏡像原理」の発見は、曲面論における重要な未解明問題を部分的に解決するものである。さらに得られた鏡像原理はシュワルツの鏡像原理から従うものではないため、これまでに知られていた他の鏡像原理とは全く新しいタイプの対称性を導く。
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