研究課題/領域番号 |
19K21039
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補助金の研究課題番号 |
18H05854 (2018)
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 (2019) 補助金 (2018) |
審査区分 |
0202:物性物理学、プラズマ学、原子力工学、地球資源工学、エネルギー学およびその関連分野
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研究機関 | 分子科学研究所 |
研究代表者 |
廣部 大地 分子科学研究所, 協奏分子システム研究センター, 助教 (70823235)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2018年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | キラリティ / 磁性 / スピントロニクス / 分子性材料 / カイラル化合物 / 有機半導体 / スピン蓄積 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は電子スピンの流れ「スピン流」の基礎物理において、有機化合物のカイラリティによる電気的スピン整流(正効果)を究明するとともに、その逆効果を検証するものである。キラリティ誘起スピン選択則の発見はカイラリティに立脚した新しいスピン整流機構の存在を支持するが、これを固体スピントロニクス素子へ組み込む研究は数少ない。その背景には、スピントロニクス物質の大半が無機物であり、それらのカイラリティ制御は困難だという事実がある。一方、カイラリティ制御は有機化学の分野で整備されており、鏡像異性体の作り分けが可能である。これら有機化学の強みを活かすことで、カイラリティ自由度をスピントロニクスへ導入してゆく。
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研究成果の概要 |
キラリティと電気伝導性が両立する分子性材料と無機物金属をもちいて、電流とスピン流の相互変換を調べた。分子性材料をもちいた磁気抵抗測定では、報告されてきた信号よりも一桁以上大きな磁気抵抗を検出することに成功した。非磁性軽元素で構成した分子性材料をスピントロニクス材料へ昇華する上で、本研究のアプローチは有用な物質設計指針であるように思われる。また、無機金属をもちいた電気測定で電流-スピン流相互変換に共同研究でとりくみ、これを示した。分子性材料におけるキラリティ誘起スピン偏極の機構がそのまま成り立つとは考えにくいが、キラリティを介したスピン流物性が結晶固体にも存在するという重要な知見を得た。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
スピントロニクスは電子の電荷とスピンの両方を制御することで次世代基幹技術の創製を目指す学際領域である。最重要概念は電子スピン角運動量の流れ、スピン流であり、スピン流の学理構築は重要である。電流とスピン流の相互変換として、第一に強磁性金属における強いスピン交換結合、第二に貴金属中の強いスピン軌道相互作用が開拓され、この学理体系は完成されたと思われていた。しかしながら、非磁性かつスピン軌道相互作用の小さな軽元素を用いても電流-スピン流変換できることが最近あきらかになってきた。キラル分子性材料をもちいた本研究はこの潮流に即したものであり、電流-スピン流変換の高効率化の指針を与えるものである。
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