研究課題
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水蒸気噴火の噴出物は、浅部熱水系で変質を受けた熱水変質鉱物を多く含むことから、水蒸気噴火の発生場は、火山体浅部に存在する熱水系であると考えられている。水蒸気噴火は、一般的にマグマ噴火に比べ規模が小さく、前駆現象の観測が難しいことから、噴火の予知には至っていない。浅部熱水系に起因した水蒸気噴火が発生しうる、または発生した火山である、立山地獄谷と箱根大涌谷を対象に、噴気および温泉水の化学・同位体比組成を調査し、得られた結果を基として、熱水流動のシミュレーションを行い、火山活動を正確に評価しうる指標を提案する。
水蒸気噴火は,国内外で数多く発生する噴火形態のひとつで,その発生機構は解明されていない.本研究課題では,水蒸気噴火が発生した,または発生しうる火山である,箱根大涌谷と立山地獄谷で,火山ガスおよび温泉水の化学と同位体比分析を行なった.大涌谷直下に存在する熱水系の温度は,最大で260度程であることがわかった.また,小規模な火山活動の変化は,火山ガスの化学組成に反映されていた.立山地獄谷の噴気の一部は,100度の同位体分別を受けたものと,より高温でマグマ水と天水が分離したものの2種類あることがわかった.地獄谷の温泉水は,ClとSO4の濃度から3つに分類されることがわかった.
水蒸気噴火は,国内でも数多く発生し,噴火頻度そのものは多いにも拘らず,その噴火規模が小さいため,発生機構は明らかになっていない.水蒸気噴火が発生しうる火山は,観光地となっている場合が多く,小規模な噴火であっても,深刻な自然災害となりうる.本研究では,水蒸気噴火が発生しうる火山において,火山ガスおよび温泉水の採取を行い,水蒸気噴火の発生場として考えられている,熱水系の構造を明らかにし,火山活動の評価を行ってきた.
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件)
Bulletin of Volcanology
巻: 81 号: 2 ページ: 8-8
10.1007/s00445-018-1264-7